馬産地コラム

タイキシャトルを訪ねて~イーストスタッド

  • 2010年02月17日
  • イーストスタッドにて種牡馬生活を送っておるタイキシャトル
    イーストスタッドにて種牡馬生活を送っておるタイキシャトル
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 浦河町のイーストスタッドへタイキシャトルを訪ねた。

 現役時代はジャック・ル・マロワ賞(G1)、安田記念(G1)など国内外でG15勝を挙げ、屈指のマイラーとして世界に名を馳せた。近年では種牡馬としても着実に評価を上げている。

 放牧地へ足を運ぶと、真冬の冷たい風を受けながらリラックスした様子を見せてくれた。イーストスタッドの青木大典場長に近況を伺うと、「健康状態は良好です。もともとやんちゃなタイプでしたが、以前よりは落ち着いてきました。」とのこと。今年で16歳となるが顔つきは精悍で、年齢を重ねて更に風格が出てきた印象だ。

 種付けシーズン中は午前8時30分、午後1時、午後5時が種付け時間となるそうで、1日4回を要する場合は、早朝か夜に追加でこなすそうだ。昨シーズンは4月頃が最も混み合い、1日4回をこなす日も多かったという。馬産地での支持は相変わらず高く、昨年は139頭の種付けを記録した。

 産駒の特徴については、「スピード豊かで、仕上がりの早さが強調できますね。勝ち上がり率も良く、コンスタントに走ってくれる印象があります。せりでも上々の結果を残せていますよ。」と、青木場長。産駒成績を見ると、芝ダート問わず活躍しており、父譲りの高いスピード能力を受け継ぎ、短距離からマイルで力を発揮する馬が多い。ディープサマーやマイケルバローズのように息長く活躍する馬も目立つ。

 最近ではダート路線で産駒サマーウインドが快進撃を見せ、重賞初挑戦となった今年1月の根岸S(G3)では2着に好走し、ダート短距離路線での有望株として注目を集めている。根岸S(G3)の前日に行われた東京新聞杯(G3)では産駒レッドスパーダが鮮やかに初重賞制覇を果たしており、今シーズンの種付けを前にして追い風が吹いている。

 「サマーウインドは惜しかったですね。レッドスパーダはメイショウボーラーと同じく、ストームキャットの肌にタイキシャトルという血統で注目していました。2頭共今後が楽しみですね。」と、青木場長は笑みをこぼす。

 タイキシャトルの近くの放牧地には産駒メイショウボーラーの姿があった。こちらも昨シーズンは種付け頭数100頭超えを果たした人気種牡馬だ。「産駒が種牡馬となってくれることは本当に嬉しいことです。メイショウボーラーはタイキシャトルとはタイプが違って、母の父ストームキャットの雰囲気が出ている馬ですね。ダートで好成績を残した点は強みですし、仔出しも良いですよ。」と、青木場長。父仔で沢山の花嫁を集める頼れる血統だ。

 昨年も見学時期にはタイキシャトルを目当てに来たファンも多かったという。海外のビッグレースを制した名馬には、当然種牡馬としての注目度も高い。「レッドスパーダをはじめ、これからも大きいところを目指せる産駒をどんどん送り出して欲しいですね。」と、青木場長は期待を寄せる。今後も卓越したスピードを武器とした優秀な産駒を輩出してくれるだろう。
取材班