馬産地コラム

タニノブーケを訪ねて~エクセルマネジメント

  • 2010年02月09日
  • エクセルマネジメントで余生を過ごしているタニノブーケ
    エクセルマネジメントで余生を過ごしているタニノブーケ
  • 同

  • 同

  • 1歳馬と同じ厩舎で過ごしている
    1歳馬と同じ厩舎で過ごしている
 えりも町のエクセルマネジメントへタニノブーケを訪ねた。現役時代は1984年のデイリー杯3歳ステークス(G2)を制した。その後の競走成績は不振に終わったが、繁殖牝馬として2頭の重賞ウイナーを送り出した。現在は繁殖牝馬を引退し、えりもの地で静かに暮らしている。

 同牧場のスタッフに近況を伺うと、「高齢馬ということを考えて体調管理をしています。飼い付けでは消化の良いものを複数回に分けて与えています。それから、雪や雨には注意して放牧しています。」と、すっかり“おばあちゃん”となった同馬へ細やかなケアを施している。

 体を冷やさないように気を配り、冬は馬服を着せて午前9時から午後2時まで放牧しているという。今年、この地域は雪が多いとのことで、放牧地は一面雪で覆われていた。1月、2月となると気温も低く、放牧地一帯も凍結するため、地面が滑りやすい状況では放牧しないそうだ。

 タニノブーケの母の母にあたるイシユクーダーはカントリー牧場が導入したアイルランド産馬で、血統背景は世界的な名牝系をたどる。カントリー牧場の熱意でその血は徐々に開花していき、ついにタニノブーケの重賞制覇へ結びついた。

 タニノブーケの産駒からは初仔タニノボレロが1992年の新潟記念(G3)を制し、4番仔タニノクリエイトは1995年の神戸新聞杯(G2)を快勝。3歳12月に挑んだ香港国際ヴァーズでは4着に善戦した。タニノブーケから孫世代にあたるタニノトリビュートもクラシック出走を果たしており、今後もこの一族から活躍馬の枝葉が広がっていきそうだ。

 今年28歳となったタニノブーケだが、寒さに備え冬毛がびっしり生えて、強い生命力を感じさせる馬体を見せてくれた。同牧場のスタッフは、「これからも元気で、少しでも長生きして欲しいと思います。」と、長寿を願っている。
取材班