馬産地コラム

レットイットビーを訪ねて~高知県・土佐黒潮牧場

  • 2010年01月21日
  • レットイットビー
    レットイットビー
  • 同

  • 土佐黒潮牧場の厩舎
    土佐黒潮牧場の厩舎
 1992年の朝日チャレンジカップ(G3)を優勝したレットイットビー(セン22歳、父トレボロ 母タカラテンショウ)を高知県須崎市の土佐黒潮牧場に訪ねた。

 本馬は1991年2月デビュー、初勝利は7戦目の1991年10月と時間を要したが、その後は掲示板を外すこと無く3勝を挙げ、格上挑戦で挑んだ1992年の朝日チャレンジカップ(G3)を優勝した。6歳(現5歳)となった1993年、初のG1挑戦となった春の天皇賞(G1)では大きく離されたものの5着に入り、今後が期待されたが京阪杯(G3)11着を最後に引退した。通算成績20戦5勝。

 引退後は乗馬クラブで乗用馬として活躍していた本馬だったが、2002年3月に蹄を痛め、乗馬の仕事を続けることが難しくなった。その乗馬クラブに通っていた会員さんが、土佐黒潮牧場(代表:濱脇敬弘さん)に相談し、濱脇さんも受け入れを快諾し、2002年の9月5日に6頭目のBTC「引退名馬等のけい養展示」の助成対象馬として移動してきた。

 土佐黒潮牧場では、創設当初は預託による引退馬や、現役馬の休養も預かっていたが、現在は、全ての権利を馬主さんから譲り受けた上で引き受ける事にしているそうだ。その為、引取りの馬運車手配や、書類の手配などの段取りを含めて全て牧場側で行っている。

 「一時は歩けないほどツメがボロボロでしたが、ここまで回復しました。この馬の生命力には驚かされます。ビートルズの名曲『レット・イット・ビー』から名付けられた馬ですが、ファンにも愛される名前ですよね。」と濱脇さん。

 『レット・イット・ビー』を意訳するなら『あるがままに』、濱脇さん達や会員さんの愛情に囲まれて、あるがままに余生を送るレットイットビーには、一日でも長生きして貰いたいものだ。
取材班