馬産地コラム

サイレントディールを訪ねて~ブリーダーズSS

  • 2009年12月28日
  • ブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬生活を送っているサイレントディール
    ブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬生活を送っているサイレントディール
  • 同

  • 同

  • 同

 通算成績50戦7勝、芝・ダートをこなし重賞3勝を挙げたサイレントディール(父サンデーサイレンス、母フェアリードール)を繋養先の日高町・ブリーダーズスタリオンステーションに訪ねた。

 本馬は2歳の9月にデビュー、新馬勝ちすると11月の黄菊賞で2勝目を挙げると、年明けのシンザン記念(G3)で重賞初制覇。皐月賞(G1)6着、日本ダービー(G1)4着とクラシックには手が届かなかったが、秋には初ダートの武蔵野ステークス(G3)で重賞2勝目を挙げた。芝のエリザベス女王杯(G1)を制し、ダートのドバイワールドカップ(G1)で2着と好走した全姉トゥザヴィクトリーを思わせる器用さを見せた。以後は芝・ダート問わずに活躍し、7歳時には佐賀記念(G3)を制し重賞3勝目を挙げ、8歳シーズンを最後に引退、今年から種牡馬入りし、初年度は53頭の繁殖を集めた。

 整った顔立ちにバリバリの良血、『良家のお坊ちゃん』というイメージを持っていたのだが、スタリオンスタッフの貞森渉さんに聞くと「色々な競馬場で戦ってきたせいか、性格的にはタフで動じない性格」との事だ。本馬の放牧地はスタリオンの敷地の一番奥にある。厩舎へと帰る収牧時には、手前の放牧地から連れて行くので、ボス意識の強い馬や寂しがり屋の馬は(自分だけ置いてかれいるんじゃないか?)と大騒ぎする馬が多いが、本馬は最後まで我慢する心の強さを持っているそうだ。

 隣の放牧地には同じ父を持つスウィフトカレントが居る。周りをチラチラと気にしているスウィフトカレントに対して、本馬はまさに泰然自若。ブリーダーズスタリオンの種牡馬の中では一番大きい(体高が高い)という事もあり、『良家のお坊ちゃん』というより『頼れるお兄さん』という感じだ。

 「来年、初仔が誕生しますが楽しみにしています。芝タイプの仔が出るのか?ダートタイプの仔出るのか?凄く興味深いですね。お父さんに似た性格のしっかりした万能タイプの仔が生まれて欲しいですね。」と貞森さん。産駒は色々な舞台で活躍してくれることだろう。
取材班