馬産地コラム

アメリカンボスを訪ねて~太平洋ナショナルスタッド

  • 2009年12月25日
  • 太平洋ナショナルスタッドにて種牡馬生活を送っているアメリカンボス
    太平洋ナショナルスタッドにて種牡馬生活を送っているアメリカンボス
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 新冠町の太平洋ナショナルスタッドへアメリカンボスを訪ねた。

 現役時代は中山記念(G2)、アメリカJCC(G2)など重賞を4勝し、2001年の有馬記念(G1)では13番人気の低評価を覆して2着に入り、波乱の立役者となった。

 同牧場の田村義徳さんに近況を伺うと、「健康状態はいたって良好です。馬に対してはきついところがありますが、扱いやすい馬です。種付けも上手だし、受胎率も良いです。今年は27頭と種付けしましたよ。」と、伝えてくれた。

 放牧地へ会いに行くとアメリカンボスの場所からは太平洋を一望でき、素晴らしい眺望を目にしながら、穏やかに冬の到来を感じている様子だ。寒いこの時期は朝6時から午後2時半まで放牧しており、気温によって放牧時間を調整しているという。

 産駒はこれまで4世代がデビューし、2006年にロイヤルボスが2歳重賞ハイセイコー記念を優勝。その後もハイレベルな南関東のオープンクラスで活躍している。昨年はギャンブルオンミーが船橋の東京湾カップを勝ち、3歳ダートの大一番・ジャパンダートダービー(Jpn1)にも駒を進めた。

 田村さんは産駒の特徴について、「素直な仔が多く育成もスムーズで、2歳戦からよく走っています。アメリカンボス自身は芝の重賞を勝った馬ですが、ミスタープロスペクターの血統を受け継ぎ、産駒はダートでも結果を出せていますね。」と、分析している。アメリカンボス自身もダートで勝ち上がった馬であり、産駒は芝もダートも対応できそうだ。
 
 現役時代の41戦は全て江田照男騎手とのコンビで走り、G1には8回挑戦した。G1勝ちこそ果たせなかったものの幾多の強豪馬としのぎを削り、個性派の一頭として競馬場を盛り上げた。引退した今も見学に訪れるファンは多いという。

 「帯広、栃木、埼玉、京都など多方面から見学の方が来ております。アメリカンボスの現役時代に馬券を当てたことが思い出で、会いに来たという方もいましたね。」と、田村さん。ファンの存在はありがたい、と笑顔を見せる。
 
 今年14歳となるアメリカンボスだが、馬体は若々しく元気一杯だ。田村さんは、「できることなら50頭ぐらい種付けしたいですが、今の時代はなかなかそうもいきません。ただ、キングマンボを父に持つ種牡馬は実績を残していますし、まだまだ可能性を秘めている馬だと思います。アメリカンボスの産駒で自身が2着だった有馬記念(G1)を勝てるような馬を出せたら最高ですね。」と、夢を膨らませている。
取材班