馬産地コラム

サウスヴィグラスを訪ねて~アロースタッド

  • 2009年12月04日
  • アロースタッドで種牡馬生活を送っているサウスヴィグラス
    アロースタッドで種牡馬生活を送っているサウスヴィグラス
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 2003年のJBCスプリント(G1)を制したサウスヴィグラスをアロースタッドに訪ねた。本馬は父エンドスウィープ、母ダーケストスター、1996年生まれのアメリカ産馬(通算成績33戦16勝)。3歳(現2歳)シーズンの終盤、1998年11月にデビューし、7歳の2003年11月まで活躍した。

 早くから勝ち上がりダートの短距離で活躍していたが、本格化したのは6歳になってからで、優れたスピードを武器に1000m~1400mの短距離で重賞8勝を挙げた。引退レースとなったJBCスプリント(G1)でG1ウイナーの仲間入りを果たすと、翌年の2004年から静内スタリオンステーションにて種牡馬入りした。

 静内スタリオンステーションの閉鎖に伴い、2005年シーズンからはアロースタッドに移動しているが、初年度から150頭→124頭→97頭→94頭→112頭とコンスタントに種付けを行っている。6年目の今年は145頭に種付けと人気も回復、人気種牡馬としての地位を確立している。産駒には地方の船橋記念を勝ったスパロービートや、プロキオンステークス(G3)2着となったトーホウドルチェなどが居るが、産駒にはやはりスピードタイプが多いようだ。

 11月23日に行われた兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)では、笠松競馬所属のラブミーチャンが中央馬相手優勝、本馬の産駒としてグレードレース初勝利を果たした。早いだけでなく直線での勝負根性を見せつけたレース振りには、「素晴らしいレースをしてくれましたね!」とアロースタッドの今野主任も驚きを隠せない様子だ。

 「初年度産駒の勝ち上がりが遅かったのですが、それ以降は想像通りの活躍をしてくれています。種付け料が手頃なのもありますが、とにかく生産者さんから仔出しの評判が『抜群』に良いんですよ。産駒の成績も安定していますし、丈夫でスピード豊か、来年はもっと人気が出るんじゃないかと期待しています。」と看板種牡馬への期待を語ってくれた。

 放牧地の本馬を見せてもらった。隣の放牧地には春の天皇賞(G1)を勝ったスズカマンボ、向かいの放牧地には高松宮記念(G1)を勝ったスズカフェニックスが居る。サンデーサイレンス系種牡馬との血統の違いもあるのだろうが、「芝の長距離馬」「芝の短距離馬」とは明らかに体型が違う。教科書通りの「ダート短距離馬」の体型とでも言うべきだろうか。

 JBCスプリント(G1)でハナ差の勝負をした好敵手・マイネルセレクトの産駒が今年デビューし、本馬の産駒と同じくダートの短距離を中心に勝ち上がっている。父の代からのライバル関係が、産駒の間でも繰り広げられることだろう。ビッグレースでの対決が今から楽しみだ。
取材班