馬産地コラム

サニースイフトを訪ねて~(有)丸村村下ファーム

  • 2009年12月02日
  • ダービー馬サニーブライアンの母、サニースイフト。
    ダービー馬サニーブライアンの母、サニースイフト。
  • 今年で21歳になるがまだまだ元気。
    今年で21歳になるがまだまだ元気。
  • 日高山脈を望む放牧地で元気に暮らしている
    日高山脈を望む放牧地で元気に暮らしている
  • 今年生まれた当歳(牝、ディクタット)
    今年生まれた当歳(牝、ディクタット)
 1997年の皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)を制したサニーブライアンの母、サニースイフト(父スイフトスワロー)を浦河町・(有)丸村村下ファームに訪ねた。サニースイフトはダービー馬・サニーブライアンの母として有名だが、現役時代には4勝を挙げオークス(G1)にも出走している。

 4つ上の全兄サニースワローは、大西直宏騎手を鞍上に1987年の日本ダービー(G1)でメリーナイスの2着に破れたが、10年後に同じ大西直宏騎手を背にしたサニーブライアンが優勝し、「兄の無念を妹の仔が晴らす」というドラマチックなレースとなった。
 
 初仔のサニーブライアンが日本ダービーを制して12年、サニースイフトは今年21歳になる。繁殖牝馬としては、お婆ちゃんともいえる年齢に差し掛かっているが、「まだまだ元気で健康状態は良好ですよ。」と語るのは(有)丸村村下ファームの代表・村下喜八さんだ。今年は不受胎だったものの、当歳にはディクタットの牝馬、1歳にはファンタスティックライトの牡馬がいる。

 「性格は大人しくて利口な馬です。乳の出も良く、子育て上手で子供を可愛がりますね。子宮の回復も早いので、それが優秀な仔出しにも繋がっているのでしょう。」と喜八さんがべた褒めする本馬だが、初仔のサニーブライアンを始めとして16年間で13頭もの産駒を送り出している。

 配合相手にはブライアンズタイム、ミオロベルティーノ、カンパラ、サンシャインフォーエヴァー、トニービン、コマンダーインチーフ、アフリート、アジュディケーティング、マヤノトップガン、フォーティナイナーなど様々な種牡馬が選ばれて来たが、そのどれもが気性的に「扱いやすい利口な馬」だそうで、母の穏やかな気性が受け継がれているそうだ。

 「日本ダービー(G1)を勝たせてくれた、この一族には本当に頭が下がりますね。」と心から感謝の気持ちを語るのは喜八さんの父である、先代の喜幸さん。現在、浦河町にある観光施設『優駿ビレッジAERU』で功労馬として暮らしているサニーブライアンには、人参をお土産に度々会いに行っているそうだ。「今年の夏に札幌競馬場では『サニーブライアンの展示』がありました。多くのファンが会いに来てくれて、生産者冥利に尽きる喜びでしたね。」と喜幸さんは語る。

 先月末には、孫にあたるサニーアンジェリカ(父サクラバクシンオー)も繁殖牝馬として牧場に帰ってきた。「サニー」の一族は今後も明るく輝き続ける事だろう。
取材班