ライデンリーダーを訪ねて~吉田牧場
地方所属馬に中央競馬のG1競走が開放された1995年の“交流元年”、牝馬クラシック路線に笠松競馬から参戦したライデンリーダーを安平町・吉田牧場に訪ねた。
1994年6月に地方競馬の笠松(荒川友司厩舎)からデビューした本馬は、地方重賞4連勝を含めた無敗の9連勝で2歳シーズンを終えた。迎えた3歳、地元で10勝目を挙げると桜花賞トライアルの報知杯4歳牝馬特別(G2)に挑み、見事な末脚で勝利、一躍桜花賞(G1)の有力候補となる。当時、笠松競馬の所属だった安藤勝己騎手との「地方からの挑戦」は話題を呼び、桜花賞(G1)では1番人気に推されるも、終始、馬群に包まれる厳しい戦いで、勝ち馬ワンダーパフュームの0.3秒差4着に惜敗する。
オークス(G1)では、2番手を進む積極策も距離が長かったのか13着と惨敗、秋はローズステークス(G2)で3着に入り、出走の権利を得たエリザベス女王杯(G1)だったが、これも13着と大敗した。その後は平安ステークス(G3)、シルクロードステークス(G3)などに挑戦するものの結果を残すことは叶わず、5歳の春に引退した。結果的に早熟傾向だったのかもしれないが、本馬が見せた“一瞬の輝き”は、未だに多くの競馬ファンの記憶に鮮明に残っている。
現在17歳の本馬、11年間で8頭の産駒が誕生と仔出しは良いものの、母の活躍を超える産駒はまだ出ていない。今年はアジュディケーティングの牡馬が誕生し、将来の活躍が期待される。(今年度は残念ながら不受胎。)
昨年から吉田牧場で働く、岐阜県出身の林竜多郎さんに本馬の近況を伺った。「学生時代に地元で凄い人気だったライデンリーダーだけに、イチローのような“超一流スポーツ選手”を見るような気持ちだったのですが、世話してみると普通の馬でしたね。」と笑いながら語ってくれた。「勝気なところがありますが、昔に比べると穏やかになったと聞いています。今年の当歳は煩かったんですが、母親の若い頃はこんなんだったんでしょうか。」憧れと尊敬の対象だった本馬を世話できることが嬉しそうな林さんだ。
吉田牧場の敷地内には有名な「テンポイントのお墓」がある。静かな林の一角には、テンポイントだけでなく一族のキングスポイントやオキワカ、本馬の父ワカオライデンなどのお墓もあり、参拝客が途絶えることが無い。今でもテンポイントの命日には、ファンから花が届けられる。
「ライデンリーダーがイチローなら、僕にとって(現役時代を知らない)テンポイントは王貞治選手や長嶋茂雄選手、“伝説”ですね。そんな“伝説”の血が、このように受け継がれていることには感慨深いものがありますね。」とテンポイント一族について語ってくれた。本馬の産駒から、一族の新たな“伝説”が刻まれることを期待したい。
取材班
1994年6月に地方競馬の笠松(荒川友司厩舎)からデビューした本馬は、地方重賞4連勝を含めた無敗の9連勝で2歳シーズンを終えた。迎えた3歳、地元で10勝目を挙げると桜花賞トライアルの報知杯4歳牝馬特別(G2)に挑み、見事な末脚で勝利、一躍桜花賞(G1)の有力候補となる。当時、笠松競馬の所属だった安藤勝己騎手との「地方からの挑戦」は話題を呼び、桜花賞(G1)では1番人気に推されるも、終始、馬群に包まれる厳しい戦いで、勝ち馬ワンダーパフュームの0.3秒差4着に惜敗する。
オークス(G1)では、2番手を進む積極策も距離が長かったのか13着と惨敗、秋はローズステークス(G2)で3着に入り、出走の権利を得たエリザベス女王杯(G1)だったが、これも13着と大敗した。その後は平安ステークス(G3)、シルクロードステークス(G3)などに挑戦するものの結果を残すことは叶わず、5歳の春に引退した。結果的に早熟傾向だったのかもしれないが、本馬が見せた“一瞬の輝き”は、未だに多くの競馬ファンの記憶に鮮明に残っている。
現在17歳の本馬、11年間で8頭の産駒が誕生と仔出しは良いものの、母の活躍を超える産駒はまだ出ていない。今年はアジュディケーティングの牡馬が誕生し、将来の活躍が期待される。(今年度は残念ながら不受胎。)
昨年から吉田牧場で働く、岐阜県出身の林竜多郎さんに本馬の近況を伺った。「学生時代に地元で凄い人気だったライデンリーダーだけに、イチローのような“超一流スポーツ選手”を見るような気持ちだったのですが、世話してみると普通の馬でしたね。」と笑いながら語ってくれた。「勝気なところがありますが、昔に比べると穏やかになったと聞いています。今年の当歳は煩かったんですが、母親の若い頃はこんなんだったんでしょうか。」憧れと尊敬の対象だった本馬を世話できることが嬉しそうな林さんだ。
吉田牧場の敷地内には有名な「テンポイントのお墓」がある。静かな林の一角には、テンポイントだけでなく一族のキングスポイントやオキワカ、本馬の父ワカオライデンなどのお墓もあり、参拝客が途絶えることが無い。今でもテンポイントの命日には、ファンから花が届けられる。
「ライデンリーダーがイチローなら、僕にとって(現役時代を知らない)テンポイントは王貞治選手や長嶋茂雄選手、“伝説”ですね。そんな“伝説”の血が、このように受け継がれていることには感慨深いものがありますね。」とテンポイント一族について語ってくれた。本馬の産駒から、一族の新たな“伝説”が刻まれることを期待したい。
取材班