馬産地コラム

フジヤマケンザンを訪ねて ~吉田牧場

  • 2009年11月02日
  • 吉田牧場にて余生を過ごしているフジヤマケンザン
    吉田牧場にて余生を過ごしているフジヤマケンザン
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 通算成績34戦11勝、3歳から8歳まで長きに渡って活躍し、中日新聞杯(G3)、中山記念(G2)、七夕賞(G3)、金鯱賞(G2)と国内で重賞4勝を挙げただけでなく、1995年には香港国際カップ(当時はG2)を勝ち、ハクチカラ(1959年ワシントンバースデイハンデキャップ)以来、36年ぶりの「日本調教馬による海外重賞制覇」を果たしたフジヤマケンザン(牡21歳 父ラッキーキャスト 母ワカスズラン)を安平町の吉田牧場に訪ねた。

 1995年の宝塚記念(G1)5着の後、骨折が判明した本馬は競走馬を引退。1997年から2001年の5年間種牡馬として供用され、32頭の産駒が登録されたが、活躍馬を出すことは叶わず種牡馬を引退、静岡県の「つま恋乗馬倶楽部」で観光乗馬として活躍していた。

 2005年8月、フジヤマケンザンの熱心なファン3名が発起人となって「チームケンザン」を設立し、本馬の譲渡を受け、功労馬として生まれ故郷の吉田牧場に里帰りさせることとなった。「チームケンザン」代表の土屋さんに話を伺うと、「有志で引き取ることが決まったものの、預託先が見つからない中、引退馬ネットを通じて生まれ故郷の吉田牧場を紹介されました。吉田牧場さんも『うちで生まれた仔なんだから、喜んで協力しましょう。』と快く引き受けて頂きました。」と当時を語る。

 その後、本馬のファンを中心に賛同者が集まり、「チームケンザン」を応援する形で「チームケンザン友の会」が発足。北は北海道から南は九州まで多くの会員が「チームケンザン」を応援している。「会員さんにはテンポイント時代からの古いファンから、ケンザンの現役時代を知らないで、たまたま牧場めぐりでケンザンに出会って入会してくれた人も居ます。」と土屋さん。

 たまたま取材日にも「チームケンザン友の会」の会員の方が見学に来ていた。千歳空港でレンタカーを借りたら、まず最初に本馬に会いに来るそうだが、旅行の帰りにも必ず別れの挨拶に立ち寄るそうだ。はるばる会いに来たファンを穏やかな表情で迎えているケンザンは、牧場と温かいファンに見守られて幸せな余生を送っている。これからも元気に長生きして欲しい。

チームケンザンについて、詳しくはこちらをご覧になってください。
>「チームケンザン友の会」
取材班