馬産地コラム

サクラユタカオーを訪ねて~ライディングヒルズ静内

  • 2009年10月09日
  • サクラユタカオー
    サクラユタカオー
  • 同

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  • 砂浴びをするサクラユタカオー
    砂浴びをするサクラユタカオー
 通算成績12戦6勝、軽快なスピード馬として活躍しただけでなく、『内国産種牡馬のエース』としても活躍したサクラユタカオーを、新ひだか町のライディングヒルズ静内に訪ねた。

 本馬は1984年12月、2歳新馬戦をレコード勝ちすると、万両賞、共同通信杯4歳S(G3)と3連勝、クラシックでの活躍が期待されたが、右前脚の骨折で春シーズンを休養。8か月後の京都新聞杯(G2)4着から戦線復帰するも、菊花賞(G1)は4着とクラシックは無冠に終わる。

 古馬となってからは、脚部不安による休養を挟みながらも、産経大阪杯(G2)を制し、秋には毎日王冠(G2)、天皇賞(秋)(G1)と2戦続けてレコード勝ちした。

 1986年の有馬記念(G1)6着を最後に引退すると、1987年からは静内スタリオンステーションで種牡馬入り。期待通りの大活躍で初年度から、ダイナマイトダディ、ヒガシマジョルカらの重賞勝ち馬を送り出し、2年目の産駒からはG1馬サクラバクシンオーを送り出した。

 その後もサクラキャンドル、エアジハード、ウメノファイバーなど多くの活躍馬を輩出したが、出生率の低下により惜しまれながらも種牡馬を引退、2001年に設立された新ひだか町の乗馬施設「ライディングヒルズ静内」に移り、功労馬として余生を過ごしている。

 本馬は今年27歳、さすがに歳を感じさせるが、栗毛に大流星のイケメンは相変わらずだ。ライディングヒルズ静内の乗馬スタッフによると、性格は大人しくて手が掛からないそうで、左目が少し見えなくなっている以外は至って健康の「病気知らず」、食欲の方も旺盛で乾燥牧草は噛みにくくなっているものの、穀類などは残さず食べているそうだ。

 現在は悠々自適な生活で、毎朝1時間程度の放牧と、引き運動で健康を維持している。放牧地では、ゆっくりと歩きながら、自由に草を食み、時折ゴロゴロと砂浴びしては馬服を汚している。今でも多くの競馬ファンや観光客が会いに来るそうで、誕生日にはお守りやニンジンが届くそうだ。「目指せ30歳ですよ!」とスタッフの皆さんは本馬にエールを送っている。

 サクラユタカオー~サクラバクシンオー~ショウナンカンプのサイアーラインは父子三代G1制覇という偉業を達成し、母の父としてもタムロチェリーやロジックを送り出し、まさに偉大な『内国産種牡馬のエース』である。今後も長生きして、競馬場で活躍する孫やひ孫達を見守ってほしい。
取材班