シーイズトウショウを訪ねて~トウショウ牧場
夏になれば、シーイズトウショウを思い出す。
2006年、夏。この年からスタートしたサマーチャンピオンシリーズ。第4戦が終わった時点で暫定トップは函館スプリントS(G3)に勝ってキーンランドC(G3)でも3着しているビーナスライン(14点)、以下アイビスサマーダッシュ(G3)に勝ち、北九州記念(G3)に出走していたサチノスイーティー(11点)、キーンランドC(G3)優勝馬チアフルスマイル、北九州記念(G3)の勝馬コスモフォーチュン、そして函館スプリントS(G3)とキーンランドC(G3)で2着していたシーイズトウショウが仲良く10点で並んでいた。
初代サマースプリントチャンピオンを目指して最終戦のセントウルS(G2)に出走してきたのがサチノスイーティー、コスモフォーチュン、シーイズトウショウ、そしてゴールデンキャスト。この4頭がそろって4着以下になれば暫定トップのビーナスラインが逃げ切るのだが、この4頭は、それぞれ他馬の入着順によってはチャンピオンになる可能性を残した4頭だった。
しかも、ゴールデンキャストを除く3頭は、地力優勝の可能性を残している。しかし、この4頭にとって頭の痛い存在は、日本を含む4か国7競走で争われる「グローバルスプリントチャレンジ」の首位を独走する豪州のテイクオーバーターゲットの参戦だった。
そうした混戦模様を象徴するかのように、レースの直前、中京競馬場は突然激しい雨に見舞われた、馬場状態は良からやや重へと変更されたが、過去2戦1番人気を裏切っているシーイズトウショウと池添騎手にとっては、舞台を演出する小道具程度のものだったのかもしれない。
外枠からスタートし、抑えきれない手応えのまま好位を進んだ同馬は、直線でゴーサインがでると弾けるように伸びた。3馬身差。スプリント戦においては圧倒的な着差だった。と、同時にチャンピオンシリーズのおもしろさを教えてくれる1戦でもあった。
あの激しい夏から3年。現在シーイズトウショウは新ひだか町のトウショウ牧場で繁殖生活を送っている。「牧場に帰ってきたら、それまでのボスをねじ伏せるようにしてボスの座に座ったんです。さすがにサマースプリントシリーズのチャンピオンですね、でも、正直に言えばそんな馬だとは思わなかったから、ビックリしました」と同牧場の志村吉男場長が懐かしそうに振り返る。
その年、最初の種付でロックオブジブラルタルを受胎し、無事に出産。今年はちょっと苦労しながらもデュランダルの仔を受胎した。
「シーイズトウショウは牧場の低迷期にきっかけを作ってくれた馬なんです。この馬の活躍がスイープトウショウやトウショウナイトにつながった。そういう意味で思い出に残る馬です」とやさしい視線を投げかける。
芝1200mの重賞5勝はサニングデールと並ぶ日本競馬史上タイ記録。その爆発的なスピードを受け継ぐ産駒の誕生を期待したい。
取材班
2006年、夏。この年からスタートしたサマーチャンピオンシリーズ。第4戦が終わった時点で暫定トップは函館スプリントS(G3)に勝ってキーンランドC(G3)でも3着しているビーナスライン(14点)、以下アイビスサマーダッシュ(G3)に勝ち、北九州記念(G3)に出走していたサチノスイーティー(11点)、キーンランドC(G3)優勝馬チアフルスマイル、北九州記念(G3)の勝馬コスモフォーチュン、そして函館スプリントS(G3)とキーンランドC(G3)で2着していたシーイズトウショウが仲良く10点で並んでいた。
初代サマースプリントチャンピオンを目指して最終戦のセントウルS(G2)に出走してきたのがサチノスイーティー、コスモフォーチュン、シーイズトウショウ、そしてゴールデンキャスト。この4頭がそろって4着以下になれば暫定トップのビーナスラインが逃げ切るのだが、この4頭は、それぞれ他馬の入着順によってはチャンピオンになる可能性を残した4頭だった。
しかも、ゴールデンキャストを除く3頭は、地力優勝の可能性を残している。しかし、この4頭にとって頭の痛い存在は、日本を含む4か国7競走で争われる「グローバルスプリントチャレンジ」の首位を独走する豪州のテイクオーバーターゲットの参戦だった。
そうした混戦模様を象徴するかのように、レースの直前、中京競馬場は突然激しい雨に見舞われた、馬場状態は良からやや重へと変更されたが、過去2戦1番人気を裏切っているシーイズトウショウと池添騎手にとっては、舞台を演出する小道具程度のものだったのかもしれない。
外枠からスタートし、抑えきれない手応えのまま好位を進んだ同馬は、直線でゴーサインがでると弾けるように伸びた。3馬身差。スプリント戦においては圧倒的な着差だった。と、同時にチャンピオンシリーズのおもしろさを教えてくれる1戦でもあった。
あの激しい夏から3年。現在シーイズトウショウは新ひだか町のトウショウ牧場で繁殖生活を送っている。「牧場に帰ってきたら、それまでのボスをねじ伏せるようにしてボスの座に座ったんです。さすがにサマースプリントシリーズのチャンピオンですね、でも、正直に言えばそんな馬だとは思わなかったから、ビックリしました」と同牧場の志村吉男場長が懐かしそうに振り返る。
その年、最初の種付でロックオブジブラルタルを受胎し、無事に出産。今年はちょっと苦労しながらもデュランダルの仔を受胎した。
「シーイズトウショウは牧場の低迷期にきっかけを作ってくれた馬なんです。この馬の活躍がスイープトウショウやトウショウナイトにつながった。そういう意味で思い出に残る馬です」とやさしい視線を投げかける。
芝1200mの重賞5勝はサニングデールと並ぶ日本競馬史上タイ記録。その爆発的なスピードを受け継ぐ産駒の誕生を期待したい。
取材班