ブライアンズロマンを訪ねて~荒木育成牧場
山形県を象徴する木であることは重々承知だが、初夏に収穫されるさくらんぼの名前を冠したレースがなぜ10月に行なわれていたのか、その理由を確かめる前にレースがなくなってしまった。
中央交流重賞のさくらんぼ記念(G3)が行われていた上山競馬場は、1周1050メートル、直線200メートルの競馬場で、幾多の名勝負の舞台となった。
記念すべき第1回は1998年10月20日。JRAの重賞3勝ワイルドブラスターに1番人気こそ譲ったが、内田利雄騎手騎乗のブライアンズロマンは中団待機から早めに先頭を奪うと、後続に3馬身の差をつけて快勝した。
その勝利を含めて通算43勝、重賞17勝はいずれもサラブレッドの最多勝。北関東の英雄は地元(宇都宮、高崎、足利、上山)に限れば59戦43勝2着12回3着1回と、ほぼパーフェクトな成績で引退。2002年春シーズンからは、数々の勲章を手土産に、新冠町で種牡馬になった。
しかし、いかに北関東の英雄といえども全国レベルでは苦戦を強いられ、血統登録産駒数は毎年1ケタ。出走した産駒はほとんどが勝ちあがる活躍を見せたが、重賞級には恵まれずに2007年シーズンの終了を待って種牡馬登録を抹消。「ブライアンズロマンの会」という有志に支えられて、現在は新ひだか町の荒木育成牧場で余生を送っている。
「とても穏やかな馬ですね」と荒木貴宏さん。種牡馬生活を引退して3度目の夏。すっかり牧場にもなれて、「これだけの名馬ですから、出来る範囲で幸せな余生を送って欲しい」と穏やかに語る。「とても熱心なファンが多く、この夏も多くのファンの方が会いに来てくれました」と嬉しそうだ。写真撮影のために放牧地の入口に近づくだけで、なんだか嬉しそうに近づいてくるブライアンズロマンを見ていると、馬自身も幸せを謳歌しているように思う。
宇都宮競馬場も、高崎競馬場も、足利競馬場も、そして上山競馬場もなくなってしまったが、ブライアンズロマンには帰る場所があった。願わくば、この日本サラブレッド史上最強馬の血を、名前を残す馬が馬産地に1頭でも多く戻ることを期待したい。
取材班
中央交流重賞のさくらんぼ記念(G3)が行われていた上山競馬場は、1周1050メートル、直線200メートルの競馬場で、幾多の名勝負の舞台となった。
記念すべき第1回は1998年10月20日。JRAの重賞3勝ワイルドブラスターに1番人気こそ譲ったが、内田利雄騎手騎乗のブライアンズロマンは中団待機から早めに先頭を奪うと、後続に3馬身の差をつけて快勝した。
その勝利を含めて通算43勝、重賞17勝はいずれもサラブレッドの最多勝。北関東の英雄は地元(宇都宮、高崎、足利、上山)に限れば59戦43勝2着12回3着1回と、ほぼパーフェクトな成績で引退。2002年春シーズンからは、数々の勲章を手土産に、新冠町で種牡馬になった。
しかし、いかに北関東の英雄といえども全国レベルでは苦戦を強いられ、血統登録産駒数は毎年1ケタ。出走した産駒はほとんどが勝ちあがる活躍を見せたが、重賞級には恵まれずに2007年シーズンの終了を待って種牡馬登録を抹消。「ブライアンズロマンの会」という有志に支えられて、現在は新ひだか町の荒木育成牧場で余生を送っている。
「とても穏やかな馬ですね」と荒木貴宏さん。種牡馬生活を引退して3度目の夏。すっかり牧場にもなれて、「これだけの名馬ですから、出来る範囲で幸せな余生を送って欲しい」と穏やかに語る。「とても熱心なファンが多く、この夏も多くのファンの方が会いに来てくれました」と嬉しそうだ。写真撮影のために放牧地の入口に近づくだけで、なんだか嬉しそうに近づいてくるブライアンズロマンを見ていると、馬自身も幸せを謳歌しているように思う。
宇都宮競馬場も、高崎競馬場も、足利競馬場も、そして上山競馬場もなくなってしまったが、ブライアンズロマンには帰る場所があった。願わくば、この日本サラブレッド史上最強馬の血を、名前を残す馬が馬産地に1頭でも多く戻ることを期待したい。
取材班