馬産地コラム

ハクタイセイを訪ねて~幕別 

  • 2009年04月09日
  • ハクタイセイのいる十勝軽種馬農協十勝種馬場
    ハクタイセイのいる十勝軽種馬農協十勝種馬場
  • ハクタイセイ
    ハクタイセイ
  • 同

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 1990年の皐月賞馬ハクタイセイを訪ねた。現在は北海道十勝の幕別町にある十勝軽種馬農協十勝種馬場で元気に暮らしている。
 十勝種馬場は市街地から少し離れたところにあり、辺りは雄大な山並みと十勝川を見渡せる。真冬だと最低気温が-25℃前後にまで下がるそうで、管理する中川郁夫さんは、
 「以前は最低気温で-33℃を記録した日もありました。山もあって川も近いので、帯広市街と比べて気温差が5℃ぐらいありますね。」
と、自然豊かな土地柄を教えてくれた。

 ハクタイセイの近況を伺うと、
 「病気もないし、歯も丈夫です。カイ喰いはこちらにいる4頭の中で一番良いですよ。歳を重ねて変わってきたところと言えば、毛が細くなってきたことかなぁ。芦毛特有の黒い斑点が多くなってきました。」
とのご様子。まずは健康で何よりだ。
 “放牧地の向こう側に山があり、冬は陽が沈むのが早い”というロケーションゆえ、冬季は朝8時に放牧し、気温が下がる14時頃には厩舎に入れているそうだ。
 
 中川さんは馬たちが厳しい冬を乗り切るために、ある工夫を凝らしているという。
 「冬は飲む水をお湯にして与えています。30℃ぐらいのお湯です。冬場に水を与えると冷たすぎて飲まないのです。水だったらバケツで2杯飲むところを、お湯だったら3杯は飲みます。お湯を飲んで体を温めることでカイ食いが良くなり、皮膚の状態も良くなります。ここの馬は冬に馬服を着せなくても、みんな元気ですよ。」
なるほど、これは極寒の季節で健康を保つ秘訣の一つであろう。

 ハクタイセイは今年22歳になるが、年齢ほど衰えはないという。中川さんは、
「とにかくカイ喰いが良い馬ですね。現在の馬体重は450kgぐらいですが、今年は一番太っているかもしれない。昨年の秋からは地元のニンジンもよく与えています。幕別町や近隣の音更町はニンジンの収穫量が多くて、低価格で手に入るのです。ニンジンはビタミンが豊富なので、その効果もあって元気に過ごしていますよ。長生き出来そうです。」
と、語った。十勝の大地の恵みをいっぱいに受けて、長寿記録を目指したいところだ。

 十勝種馬場は車以外での移動手段にはいささか困難な場所にあるが、ハクタイセイを目当てに毎年見学に来るファンは多いという。
 「年間200人ぐらい来られますね。北海道外から来る方が8割です。特に、30代~40代の女性が多いかな。夏休み時期やばんえい競馬の重賞レースがある週はよく来られます。今でも誕生日やお正月・お盆に神社のお守りやリンゴが届けられます。クリスマスにはチョコレートが届くこともありました。チョコレートはさすがに私が食べました(笑)本当にファンが多い馬ですね。」
と、笑顔で語った。

 すっかり白髪のおじいちゃんとなったハクタイセイだが、その耳には“これからも元気でね”という全国のファンの願いがきっと届いているはずだ。

                   日高案内所取材班