馬産地コラム

ロンシャンボーイを訪ねて ~ 浦河 ヒダカファーム

  • 2009年03月18日
  • ヒダカファーム育成場看板
    ヒダカファーム育成場看板
  • ロンシャンボーイ
    ロンシャンボーイ
  • 同

  • 同

 1993年京阪杯GⅢを軽ハンデで逃げ切り重賞初制覇。宝塚記念GⅠでは惨敗も、続く高松宮杯GⅡでは、その年の皐月賞馬ナリタタイシンを相手に再度の逃げ切りを果たして大金星。清山宏明騎手(現調教助手)との個性派コンビが記憶に残るロンシャンボーイを浦河町のヒダカファームに訪ねた。

 ヒダカファームの所在地は浦河町荻伏地区。冬には白鳥の姿も見ることが出来る元浦川河口を上流に3kmほど遡った場所に位置する。ロンシャンボーイは本場から橋を渡った場所にある育成場で放牧されていると伺い、育成場に向かったが、入り口の放牧地で目に留まった「毛艶のいい馬」こそがロンシャンボーイだった。

 今年、20歳を迎えるというロンシャンボーイだが、馬体や毛艶は驚くほど若々しい。現役を引退してから10年以上功労馬として過ごしているが、数年前までは中期育成の1歳馬達と一緒に放牧することもあったそうだ。放牧地では若い1歳馬達に“社会のしきたり”を教え込む役割を立派に果たし、一緒に過ごした若駒達は育成でも手がかからなかったそうだ。また、当時若い馬達と一緒に走り回っていた事が自身の体力維持にもつながり、現在も若々しい姿を維持できているのであろう。

 “教育係”を卒業した現在は、育成牧場の入り口の放牧地で朝6:00頃から15:00頃まで放牧され、気ままに過ごしているが、時折昔を思い出したように、向かいの放牧地の1歳馬達を眺めている。(最近の若いもんは~)とでも思っているのだろうか。

 愛想が良くないのか、ファンの訪問にもあまり興味を示さない素っ気無い態度だが、勤務暦?では育成場でもかなりの古株。キャリアの若い牧場スタッフには“先輩風”というか格上意識を見せることもあるそうだ。これからも放牧地から若駒の成長を静かに見守ってくれることだろう。

                 日高案内所取材班