重賞ウィナーレポート

2015年11月03日 JBCLクラシック(中央交流) Jpn1

2015年11月03日 大井競馬場 晴 不良 ダ 1800m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ホワイトフーガ

プロフィール

生年月日
2012年03月28日 03歳
性別/毛色
牝/芦毛
戦績
国内:10戦5勝
総収得賞金
291,415,000円
クロフネ(USA)
母 (母父)
マリーンウィナー  by  フジキセキ
馬主
西森 鶴
生産者
梅田牧場 (荻伏)
調教師
高木 登
騎手
大野 拓弥
  • 梅田幹也さんと本馬の母マリーンウィナー
    梅田幹也さんと本馬の母マリーンウィナー
  • 名血の母マリーンウィナー
    名血の母マリーンウィナー
  • 梅田牧場の厩舎
    梅田牧場の厩舎
  • 酪農時代の名残りを残すサイロ
    酪農時代の名残りを残すサイロ

 今年のJBCLクラシック(Jpn1)(中央交流)を制したホワイトフーガの故郷は、浦河町荻伏の梅田牧場。日高本線の荻伏駅に近く、静かな市街地のはずれに位置する。盆地の様相を見せる20haの土地は平らで、10頭ほどの繁殖牝馬を飼養するには十分な広さである。

 現在、牧場の作業を取り仕切るのは、長男の幹也さん夫妻。祖父で創業者の政一さんが戦前から水田と酪農を行い、父であり社長の和義さんが戦後に競走馬の生産に取り組んだという。現在は専務の幹也さんが実務を引き継いでいる。

 生産馬による重賞制覇は、今春の関東オークス(Jpn2)(勝馬ホワイトフーガ)以来。JRAでは、2008年にゲットフルマークス(京王杯2歳S(Jpn2))が牧場生産馬として初めて重賞勝馬となっている。

 レース当日、幹也夫妻は日帰りで大井競馬場に応援に行き、友達と合流してゴール前で応援していた。「2頭強いのがいるので勝てるとは思っていませんでした。一応、表彰会場には行ける様にしていましたけれど。」と明るく笑う。レースは、ゴール前からも勝利を確信できたという5馬身差の快勝だった。表彰会場でオーナーや調教師と喜びを分かち合ったそうだが、「今回は、2頭の後ろにつけて直線で差すという策をとっていたそうで、その作戦がズバリ。皆さんシテヤッタリという雰囲気でした。」と陣営の秘策の勝利に感謝する。

 ゲットフルマークスの重賞初制覇の時も取材に伺っていたのだが、幹也さんは「あの時は、牧場にとって初重賞のチャンスでも有りました。何時勝ってくれるのか、ヤキモキしていましたから肩の荷が下りた気分でした。」と振り返る。今回の快挙は冷静に受け止められたようでもある。

 しかし、本馬の誕生には苦労も多かった。
 本馬の母マリーンウィナー(母父フジキセキ、母母ドバイソプラノ(GB))は、クラシックレースを取れる血統が欲しいと、ジェイエス繁殖馬セールでダーレー・ジャパンから購入した名血馬。同牧場にきて3仔目が本馬となる。名血ながら結果を出せないでいたが、幹也さんには信ずるものがあり、大切に生産し続けてきた。 

 また、本馬が産まれる3日前に、母マリーンウィナーが腸捻転を起こし診療所で手術を受けた。母仔とも危険な状態であったが、本馬は診療所の入院馬房で無事に産まれ、輸血などの治療が実り母仔とも無事に牧場に戻れたと言う。

 信じながら苦労し続けた末に、ついに、母マリーンウィナーの名血が開花した。まるで秋に咲く桜があるように。

 事も無げに語る明るい幹也さんだが、大きな夢が現実となった。現在、半妹の2歳(父ベーカバド)と同じく半弟の1歳(父シンボリクリスエス)にも期待がかかる。

 また、本馬は将来牧場に戻る予定だ。
 今後の競走馬としての活躍への期待も膨らむが、母マリーンウィナーと共に貴重な繁殖牝馬として、将来の牧場にクラシック馬を送り込むという夢は現実味を帯びてきた。