重賞ウィナーレポート

2014年09月18日 園田プリンセスC(GDJ)

2014年09月18日 園田競馬場 曇 良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:トーコーヴィーナス

プロフィール

生年月日
2012年02月28日 02歳
性別/毛色
牝/栗毛
戦績
国内:3戦3勝
総収得賞金
61,626,000円
クロフネ(USA)
母 (母父)
ホーネットピアス  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
森田 藤治
生産者
坂東牧場 (平取)
調教師
吉行 龍穂
騎手
小谷 周平
  • 坂東牧場繁殖スタッフの皆さん。馬は2003年のローレル賞(川崎)&東京2歳優駿牝馬(大井)、2007年のエトワール賞(旭川)など重賞3勝を挙げ、引退後に坂東牧場で繁殖生活を送っているビービーバーニングと今年生まれた当歳馬(牝、父ヴィクトワールピサ)
    坂東牧場繁殖スタッフの皆さん。馬は2003年のローレル賞(川崎)&東京2歳優駿牝馬(大井)、2007年のエトワール賞(旭川)など重賞3勝を挙げ、引退後に坂東牧場で繁殖生活を送っているビービーバーニングと今年生まれた当歳馬(牝、父ヴィクトワールピサ)
  • ビービーガルダンやチョウサンなどの重賞馬が生まれ育った坂東牧場の放牧地
    ビービーガルダンやチョウサンなどの重賞馬が生まれ育った坂東牧場の放牧地
  • 坂東牧場の厩舎
    坂東牧場の厩舎
  • 坂東牧場の看板
    坂東牧場の看板

 「グランダム・ジャパン」2歳シーズンがいよいよ開幕。その皮切りとなったのが、園田競馬場1400mで行われる「園田プリンセスカップ」。北海道から3頭、笠松から2頭の遠征があったが、デビューから3戦3勝のショウリ(単勝2.2倍)と2戦2勝のトーコーヴィーナス(単勝2.4倍)の地元馬2頭が人気を分け合うような形でゲートイン。レースも両馬が1、2番手で引っ張る展開となったが、直線に入っても脚色が衰えなかったのは2番人気トーコーヴィーナスの方。ティープリーズの追撃を退け、デビューから無敗で重賞制覇を成し遂げた。

 トーコーヴィーナスの生まれ故郷は、日高町福満と平取町川向に牧場を構える坂東牧場。1950(昭和25)年の創業で、競走馬の生産から育成までを一貫して行う総合牧場だ。記憶に新しいところでは、2009年のスプリンターズS(G1)、2010年の高松宮記念(G1)の両スプリントG1で惜しくもハナ差2着に敗れたビービーガルダンや、2007年の毎日王冠(G2)でダイワメジャーらを退けて優勝したチョウサンなどが同牧場の出身。現役馬には、今年の小倉2歳S(G3)で僅差2着に好走したレオパルディナなどがいる。

 「ホッカイドウ競馬からの遠征馬や素質馬が揃っていた重賞で、よく優勝してくれました。スタートから4コーナーまで快調に逃げて、直線また突き放しましたからね。内容は濃かったと思います」とレースの感想を話してくれたのは、坂東牧場のマネージャー・荒木一仁さん。「まだ直線では遊びながら走っていて、上積みの余地を残している」と吉行龍穂調教師、小谷周平騎手も口を揃えるように、この先が楽しみになるレース内容だった。

 トーコーヴィーナスは、父クロフネ、母ホーネットピアス、母の父サンデーサイレンスという血統。父クロフネ×母の父サンデーサイレンスという掛け合わせは、ホエールキャプチャ、フサイチリシャール、ブラボーデイジー、ユキチャンなど、活躍馬が多数出ている配合だ。母の9番仔として2012年2月に誕生したトーコーヴィーナスは、1歳夏までを同牧場で過ごした。「当歳時から好馬体を見せていて、素質を感じていました。クセもなく、従順な気性でしたね。1つ上の半姉セキショウと比べると、スピードタイプかなとイメージしていました」と幼少期を振り返る。

 1歳夏、国内最大の市場「セレクトセール」に上場し、3150万円(税込)で落札。「期待以上の評価をいただきました」と荒木さんも話すように、10頭のクロフネ産駒1歳上場馬の中で、牝馬ながらに2番目の高額取り引きとなった。落札者は「トーコー」の冠で兵庫競馬へ次々と良血馬を送り込んでいる森田藤治氏。トーコーヴィーナスも「セレクトセールで高額取り引きされた地方所属馬」としてデビュー前から大きな注目を集め、その期待に違わぬ活躍を見せ始めている。

 トーコーヴィーナスの母ホーネットピアスは、JRAで3勝を挙げた活躍馬。1997年の桜花賞(G1)で、キョウエイマーチ、メジロドーベルに次ぐ3着入線した馬として記憶しているファンも多いだろう。その牝系は優秀で、2005年の高松宮記念(G1)優勝馬アドマイヤマックス、2005年の桜花賞(G1)&NHKマイルC(G1)優勝馬ラインクラフト、2006年の菊花賞馬ソングオブウインドなど、ファミリーから続々とG1馬が誕生。

 トーコーヴィーナスの姉セキショウも、昨年の紫苑Sを制して秋華賞(G1)とエリザベス女王杯(G1)に駒を進めている。「そんな血統背景もあるからでしょうが、注目されていますね。調教師の方からも、トーコーヴィーナスについてよく聞かれます。母のホーネットピアスは気の強い面もありましたが、管理する上では問題ない範囲でした。高い能力が娘にも受け継がれているようで嬉しいです」と、高額取り引きの良血馬が順調に階段を上っている現状に、荒木さんも少し安堵の表情を浮かべる。

 「今後も無事に走ってきて欲しいと思います。血統的には芝適性もあると思いますし、これからどういうレース選択となるか興味深いですね。まだ幼さが残っていますし、競走馬として完成するのはこれからだと思います。大きな舞台で走ることがあれば、競馬場まで応援に行きたいですね」とエールを送る荒木さん。今年の「グランダム・ジャパン」3歳シーズン女王に輝いたトーコーニーケにつづき、2歳シーズンも「トーコー」冠の馬が主役となるのだろうか? 大晦日の「東京2歳優駿牝馬(大井)」まで、目が離せなくなりそうだ。