重賞ウィナーレポート

2012年05月20日 オークス G1

2012年05月20日 東京競馬場 晴 良 芝 2400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ジェンティルドンナ

プロフィール

生年月日
2009年02月20日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:6戦4勝
総収得賞金
1,326,210,000円
ディープインパクト
母 (母父)
ドナブリーニ(GB)  by  Bertolini(USA)
馬主
(有) サンデーレーシング
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
石坂 正
騎手
川田 将雅

 入厩前から、目標はオークス(G1)制覇だった。「調教でも引っ掛かるような走りを見せたことが無かったですし、坂路を駆け上がってもケロッとしていたほどに心肺機能が高い。ただ、あれだけの勝ち方をするとは思いもしなかったですけど」とノーザンファーム空港牧場で、ジェンティルドンナの調教を手がけてきた伊藤賢厩舎長は笑顔を見せる。

 4コーナーで外に進路を取ったジェンティルドンナは、直線で仕掛けられると、みるみるうちに馬群から抜け出し、それどころかその差を広げていく。2着につけた5馬身もの着差は、80年のケイキロク以来の快勝。何よりも2分23秒6の時計は従来の時計を1秒7も縮めるオークスレコード。強く、そして速いという樫の女王が誕生した。

 「パドックや輪乗りでは、若干、テンションが高まったような仕草も見せていましたが、レースでは全く折り合いに苦労したような素振りは見せませんでした」(伊藤厩舎長)

 そんなジェンティルドンナだが、一度だけ折り合いを欠いたレースがある。それは4着に敗れたチューリップ賞(G3)。熱発明けのということで体調も万全ではなかったが、今にして思えば折り合いを欠いたことが敗因の1番の理由ではなかったのだろうか。「それでもジェンティルドンナ自身がこの敗戦を糧としたと思いますし、石坂先生も『あの馬は賢い』と話していたように、何事においても人の指示に従ってくれる馬。牧場にいた頃からも、折り合いを付けられるだけでなく、こちらのゴーサインに答えてくれるような走りをしていました」(伊藤厩舎長)

 実はこのオークス(G1)だが、伊藤厩舎長はレースを見に行っていない。それは桜花賞(G1)の応援に行っていたこともあるが、G1の舞台で勝ち負けのできる馬の応援に厩舎のスタッフを行かせたいという思いもあったからだった。

 レース後、ノーザンファームしがらきへと移動したジェンティルドンナだが、先日、伊藤厩舎長の元にも、知り合いのスタッフから現在の様子が伝えられたという。「全くダメージもなく、順調に調整されているそうです。牧場にいた頃から怪我らしい怪我をしたこともない馬ですし、だからこそ、能力を出し切ることができたのでしょう」(伊藤厩舎長)

 二冠を達成した以上、次に目指すは史上4頭目となる牝馬三冠制覇。だが、桜花賞(G1)を快勝しただけでなく、目標のオークス(G1)では想像以上の強さを見せたジェンティルドンナに、全くと言っていいほど死角はない。「とりあえず今は、無事に秋を迎えて欲しいとの気持ちだけです。無事に秋華賞(G1)を迎えられれば、また、素晴らしい結果が出せると信じています。その時にはスタッフには悪いですが、自分が応援に行きたいですね(笑)」

 オークス(G1)制覇だった目標は、たった今、牝馬三冠制覇へと変わった。