2011年10月10日 マイルChS南部杯 Jpn1
優勝馬:トランセンド
プロフィール
- 生年月日
- 2006年03月09日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:16戦9勝
- 総収得賞金
- 633,520,000円
- 母 (母父)
- シネマスコープ by トニービン(IRE)
- 馬主
- 前田 幸治
- 生産者
- ノースヒルズマネジメント (新冠)
- 調教師
- 安田 隆行
- 騎手
- 藤田 伸二
震災復興支援のため東京開催となった第24回マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)はトランセンドが激しい叩き合いを制して優勝。今春、世界の舞台で明らかにした日本が誇る実力を改めて知らしめた。
本馬の生産は新冠町の(株)ノースヒルズ。過去にもG1馬を送り出してきた実績ある牧場として知られる。今年も本馬をはじめ、アーネストリー、リディル、クラレントといった生産馬や、同牧場グループの育成管理馬ラヴェリータ、モンストールが続々と重賞制覇を果たし、早くも昨年を上回る成績をマークしている。
同牧場の福田洋志マネージャーより、レースの感想を聞くと、「タフなレースになりましたが、よく勝ってくれましたね。彼の根性には本当に頭が下がります。併せ馬になればしぶとい馬なので、手の内を知る藤田騎手の手綱捌きも見事でした。ドバイでは敗れましたが、日本馬ワンツーを決めてくれましたし、今回の被災地支援競走でも明るいニュースを届けられたら幸いです。」と、話してくれた。
レース当日は北海道と大山ヒルズ(鳥取県)から6名の牧場スタッフが応援に出向き、歓喜の瞬間に立ち会った。同牧場及び本馬を所有する前田幸治氏は優勝賞金の一部1,000万円を岩手県の支援金・義援金として寄付し、10月31日には岩手県庁知事室において贈呈式が行われた。
“元気でパワフル”というのが牧場時代のトランセンドとして通じている印象だ。母シネマスコープはストレートに父の長所を伝える優秀な繁殖牝馬で、6番仔として誕生した本馬はワイルドラッシュ譲りの雄大な馬体がじっくりと育まれた。病気やケガもなく、大山ヒルズで育成された後、栗東・安田隆行厩舎へと巣立った。
今年18歳となるシネマスコープは昨年、今年と牝馬を生み、今年は再びワイルドラッシュの交配を試みるも受胎叶わず、現在は来春へ向けて体調を整えている。G1馬の母は年齢以上に若々しく、大人しい。写真を撮る際も牧場スタッフの手を焼かせることなく、言葉をわかっているかのように素直に応じていた。トランセンドも牧場時代は扱いやすい馬だったそうで、このあたりは母譲りの従順さが表れているのだろう。
牧場では偉大な兄に続けと2頭の妹が順調に育っている。福田マネージャーによると、「1歳の父マンハッタンカフェの仔は美しい牝馬です。馬格があってバランスも良く、デビューを楽しみにしています。当歳は父ゴールドアリュールの仔で、筋肉質でしっかりしたタイプですね。父の特長がよく出ていて、トランセンド同様にダートでの活躍が期待できそうです。」とのこと。血統面や牧場の手応えからその秘めたる可能性に唸るとともに、実馬を目にし、改めて母の仔出しの良さに唸った。
帰国初戦を勝利で飾り、迎えるダート頂上決戦へ向けて視界は明るい。「今年はあとJBCクラシック(Jpn1)からジャパンカップダート(G1)の2戦の予定です。力を出し切ってくれることを願っています。」と、福田マネージャー。今やレースの盛り上がりをも左右する存在。大きな期待に応えるべく、更なる躍進は続いていくはずだ。