重賞ウィナーレポート

2019年06月04日 石川ダービー(DS2019)

2019年06月04日 金沢競馬場 晴 良 ダ 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ロンギングルック

プロフィール

生年月日
2016年05月18日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:12戦5勝
総収得賞金
23,512,000円
グランプリボス
母 (母父)
ブリトン  by  サクラローレル
馬主
飛彈 共榮
生産者
バンブー牧場 (荻伏)
調教師
金田 一昌
騎手
中島 龍也
  • ロンギングルックの母ブリトンと今年生まれた当歳馬(牝、父バンブーエール)
    ロンギングルックの母ブリトンと今年生まれた当歳馬(牝、父バンブーエール)
  • ブリトンはダノンレジェンドの仔を受胎中
    ブリトンはダノンレジェンドの仔を受胎中
  • とてもおとなしい当歳馬
    とてもおとなしい当歳馬
  • 授乳中のブリトン
    授乳中のブリトン
  • ロンギングルックが生まれたバンブー牧場の放牧地
    ロンギングルックが生まれたバンブー牧場の放牧地
  • .バンブー牧場の厩舎
    .バンブー牧場の厩舎

 「ダービーシリーズ2019」の第2戦は金沢競馬場が舞台の「石川ダービー」。牡馬6頭、牝馬6頭とまさに雌雄を決する一戦となったが、優勝したのは3番人気に推された牝馬ロンギングルック。3番手の外々を回りながら3~4コーナーで先頭を捕らえ、直線では後続を見る見る間に引き離しての大差勝ち。力の違いを見せつけるような快走を披露し、ダービーの大舞台で嬉しい重賞初勝利を飾った。

 ロンギングルックの生まれ故郷は、浦河町のバンブー牧場。同牧場はダービーシリーズ2019の第1戦「九州ダービー栄城賞(佐賀)」の勝ち馬スーパージンガの生産者でもあり、わずか9日間で“ダービー2連勝”という快挙を達成したことになる。

 「いゃ~、ビックリしましたね。生産馬がダービーを2連勝するなんて、こんなことが現実に起きるんですね。しかもスーパージンガとロンギングルックは両馬ともに牝馬ですから、同じ時期に同じ放牧地で育ったんです。その2頭が共にダービー馬になってくれるなんて、信じられない気持ちでいっぱいです」と、バンブー牧場の竹田辰紀社長は驚きを隠さない。「ロンギングルックは前哨戦の北日本新聞杯で3着に負けており、その時の1・2着馬もダービーに出走していましたから、まさかあれほどの大差で勝つとは想像もしていませんでした」と衝撃の圧勝劇を振り返る。

 ロンギングルックの母ブリトンもバンブー牧場の生産馬で、現役時代はJRAの芝レースで3勝を挙げ、オークス(G1)で5着(優勝馬シーザリオ)するなど世代トップクラスの実力を示していたサクラローレル産駒。4歳で早々に繁殖入りし、グランプリボスとの交配で14歳の時に産んだのがロンギングルックだった。「グランプリボスが種牡馬入りした初年度に交配したのですが、ブリトンも現役時代は芝の1200m~1600mで勝利している馬ですし、産駒には芝のスピード系をイメージしていました」と話す竹田さんの予想を覆し、ロンギングルックはダート競馬で活躍。そして父グランプリボスに、産駒重賞初勝利をプレゼントした。

 ロンギングルックの1歳上にはクリノヒビキ(牡4歳、父バンブーエール)がいて、こちらも地方競馬の重賞を2勝(園田オータムトロフィー、岐阜金賞)している活躍馬。昨年の兵庫ダービー2着、ダービーグランプリ2着と“ダービー”のタイトルをあと一歩のところで逃していただけに、1年越しに妹がその雪辱を果たしたことにもなる。「クリノヒビキは一昨年のトレーニングセールで好時計を出して1350万円(税込)という高値で落札していただきました。その年のオータムセールに上場した妹のロンギングルックも馬体は良かったのですが、まだクリノヒビキが結果を出す前でしたからね。価格が競り上がらなかったのも納得です」と、兄妹が市場で売却された時の心境を明かしてくれた。

 現在、母ブリトンはえりも町の熊澤牧場で繋養されており、今春、父バンブーエールの牝馬を出産。「私も競走馬の生産を始めて40年以上になりますけど、こんなにおとなしくて扱いやすい仔馬は初めてです。耳を触っても、お腹をさすっても、しっぽを掴んでも平気な顔をしているんですよね。これは将来、大物になるかもしれませんよ(笑)。兄姉が活躍しているので、この仔にも頑張ってほしいですね」と、熊澤さんは今年生まれた当歳馬に期待を寄せている。現在、ブリトンのお腹の中には、ダノンレジェンドの仔が宿っているそうだ。

 「石川ダービー馬」「グランプリボス産駒最初の重賞馬」と2つの勲章を得たロンギングルック。今後、さらにその枕詞が増えていくような活躍に期待しよう。