重賞ウィナーレポート

2016年10月29日 アルテミスS G3

2016年10月29日 東京競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:リスグラシュー

プロフィール

生年月日
2014年01月18日 02歳
性別/毛色
牝/黒鹿毛
戦績
国内:3戦2勝
総収得賞金
887,381,000円
ハーツクライ
母 (母父)
リリサイド(FR)  by  American Post(GB)
馬主
(有) キャロットファーム
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
矢作 芳人
騎手
武 豊

 人気に推されたメイクデビュー新潟こそ敗れたものの、デビュー2戦目となった2歳未勝利戦では、ゴール前で手綱を持ったままで阪神芝1800mの2歳レコードタイムを樹立。デビュー前には管理をする矢作芳人調教師からも、能力を絶賛する記事が新聞にも取り上げられていたリスグラシューは、より注目を集める形でアルテミスS(G3)へ臨むことになった。

 「乗り慣らしの時からスタッフとも乗り味の良さを高く評価していた馬でした」と話すのは育成調教を手がけた野崎孝仁厩舎長。野崎厩舎では半姉となるレイリオン(牝3、安田)の調教も行っていたが、前向きさがある一方で、調教ペースが上がるにつれてテンションが高くなる傾向も見られていた。

 「リスグラシューも乗り始めた当初はおとなしかったのですが、坂路コースに入れるようになってからピリピリした一面も見せるようになりました」

 精神面の影響もあるのか、飼い葉食いも落ちてきて馬体を減らすようにもなった時、野崎厩舎長は順調に来ていたリスグラシューの調教ペースを落としただけでなく、時には調教コースに入らない日もあった。

 ここで心身共にリフレッシュされた効果は、2歳の春になってから現れた。肉体面ではより強い調教を行った後でも馬体は減らないようになり、気性面も安定してきたことで、走りには安定感も出てくるようになった。

 「これだけの馬ですし、怪我もさせたくないと思い、坂路コースに入る日には馬に乗らないスタッフが坂路の入り口まで付いていくこともありました。それだけに無事に牧場から送り出せたときにはホッとした思いがあります」

 実はリスグラシューが野崎厩舎にとって、初めての中央重賞勝ち馬となる。厩舎長となってからは6世代目、そして牝馬を担当するようになってから5世代目であり、また、今年からノーザンファーム早来牧場の牝馬厩舎が4つに増えてからは、最初の重賞勝ち馬ともなった。

 「早来牧場だけでなく、空港牧場も含めて、続々と活躍馬が誕生してくることがいい刺激になっています。様々なアドバイスを与えてもらっている日下調教主任にも感謝していますし、今後も厩舎のスタッフと共に、次の重賞勝ち馬を送り出していきたいです」

 その前にリスグラシューには、厩舎にとって初めてのG1勝ち馬の期待もかかる。

 「今回はマイルのレースとなりましたが、2戦目では芝1800mの距離でも勝っているように、スタッフとは距離はまだまだあってもいい馬と話したこともあります。次走に予定されている阪神JF(G1)だけでなく、来年の牝馬クラシック戦線での活躍も楽しみになってきます」

 阪神JF(G1)でもこのアルテミスS(G3)のような走りができたのなら、史上5頭目となる牝馬三冠制覇は現実ともなっていきそうだ。