2016年10月30日 天皇賞(秋) G1
優勝馬:モーリス
プロフィール
- 生年月日
- 2011年03月02日 05歳
- 性別/毛色
- 牡/鹿毛
- 戦績
- 国内:15戦8勝
- 総収得賞金
- 536,246,000円
- 母 (母父)
- メジロフランシス by カーネギー(IRE)
- 馬主
- 吉田 和美
- 生産者
- 戸川牧場 (門別)
- 調教師
- 堀 宣行
- 騎手
- R.ムーア
思えば、モーリスが初めてのG1制覇だった安田記念(G1)を勝ったあと、常に何らかの不安説に晒されていた気がする。ローテーションの不安、体調面での不安、そして、今回は距離の不安。前走札幌記念(G2)2着という結果は、距離なのか、馬場なのか、春の疲れが抜けきっていないのか?それでも蓋を開けてみれば1番人気。これまでその不安説を払拭し、勝ち続けて来た年度代表馬のプライドにかけて、新たな舞台に踏み出した。
昨年12月の香港で、日本馬G1 2連勝を演出したエイシンヒカリと初対決。そのエイシンヒカリが作ったスローペースに惑わされることなく好位から豪快に差し切り、国内外合わせてG1・5勝目を飾った。
レース当日、東京競馬場には戸川洋二・晴恵夫妻が生産馬の応援に駆け付けていた。「父スクリーンヒーロー、牝系からも距離に不安は感じていませんでした。どちらも成長力のある血統ですし、恥ずかしいレースはしないだろうと」と洋二さんは振り返る。
静かにレースを見守っていた洋二さんだったが、4コーナーを回った直後「早すぎない!?」と思わず声を上げた。先頭に踊り出そうな勢いでグングン進出を開始した時だった。府中の直線は長い。保つだろうか?外に進路を取る名手の腕を信じるしかなかった。「結果的に最後まで保たせたのだから、さすがとしか言いようがないですね」と笑った。
母メジロフランシスは、モーリスが香港のチャンピオンズマイル(G1)を優勝した直後の5月5日、お産の事故でモーリスの全妹となる後継を遺し、旅立っていった。遺された仔馬は乳母にバトンタッチされたが「お母さんに育てられてないのに、やることがお母さんと同じ。気が強くて頑固で、仕草や癖もまるでコピーみたい」と晴恵夫人が話してくれた。
血は繋がっていく。モーリスもまた、香港でのレースを最後に種牡馬入りが決定しており、次は父としての仕事が待っているのだ。
夫婦二人で切り盛りしている牧場だけに、日帰り観戦が精一杯で香港までは無理だと感じていたそうだが、ラストランは晴恵夫人が応援に行く予定だそう。
「馬の世話を人にお願いするのはちょっと…」と言う洋二さんは牧場に残り「無事にレースを終えて帰って来てくれれば、もうこれ以上望むことはないですよ」と日本からエールを送る。