重賞ウィナーレポート

2015年08月30日 新潟2歳S G3

2015年08月30日 新潟競馬場 曇 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ロードクエスト

プロフィール

生年月日
2013年03月06日 02歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:2戦2勝
総収得賞金
286,044,000円
マツリダゴッホ
母 (母父)
マツリダワルツ  by  チーフベアハート(CAN)
馬主
(株) ロードホースクラブ
生産者
様似堀牧場 (様似)
調教師
小島 茂之
騎手
田辺 裕信
  • マツリダワルツと父プリサイスエンドの当歳
    マツリダワルツと父プリサイスエンドの当歳
  • 厩舎の奥には山の傾斜を利用した放牧地がある
    厩舎の奥には山の傾斜を利用した放牧地がある
  • 地元のカメラマンがお祝いに作ってくれたポスター
    地元のカメラマンがお祝いに作ってくれたポスター
  • 堀利則さんとマツリダワルツ親子
    堀利則さんとマツリダワルツ親子
  • 様似堀牧場の厩舎
    様似堀牧場の厩舎

   3歳G1戦線につながる注目の2歳重賞 「第35回 新潟2歳ステークス(G3)」(芝1600メートル)が8月30日、新潟競馬場で行われた。このレースは2013年の優勝馬ハープスター、2013年の2着馬イスラボニータ、昨年の優勝馬ミュゼスルタンなどが名を連ねる出世レースで、今後の2歳重賞戦線はもちろん、来春のクラシック戦線を展望するうえでも見逃せない一戦だ。

   1番人気のロードクエスト(田辺裕信騎乗)はやや出遅れて道中最後方を進み、4コーナーで最内に位置取ると、最後の直線で一気に17頭を抜き去り2着馬に4馬身差をつける圧勝、デビューから2連勝で重賞初勝利を挙げた。

   ロードクエストは父マツリダゴッホ、母マツリダワルツ(母の父チーフベアハート)という血統。父マツリダゴッホはオールカマー(G2)3連覇、中山競馬場重賞6勝など数々の名勝負を残した。

   母マツリダワルツは岩手オークスひまわり賞の勝ち馬で近親にサクラチトセオー(1995年天皇賞(秋)(G1))サクラキャンドル(1995年エリザベス女王杯(G1))兄妹、サクラメガワンダー(2009年金鯱賞(G2))などがいる。

   ロードクエストを生産した様似堀牧場代表の堀利則さんはこの日、新潟競馬場にいた。自分が生産した馬を応援しに本州まで出向いたのは意外にも初めての事だったそうだ。関係者とパドックに行くと、同レースで戦うマコトルーメン(同レース3着)の生産者の出口繁夫さん(様似町)も応援に駈け付けていて、一緒に馬を見ながら「様似の馬で上位を占めたいね」と健闘を誓いあっていたという。

   心配していたスタートは1馬身ほど出遅れ、最後方の内側を気持ちよくゆったりと進んだ。「4コーナーから直線に向けて、馬主席から陰になって見えづらくなっているんです。それまでずっと後方で走っていたし、直線に入ってからもまだ後ろにいたので、これから差そうとしても間に合わないなと、一瞬諦めました。そうこうしているうちに馬群が正面に来たので、パッとみたらもう前の方に出て来ていて「これはいける!」と思い、それからは応援に力が入りました。」あとはもう圧巻の走り、17頭ごぼう抜きする姿を堀さんにプレゼントした。

   「1枠で、内枠の馬場が荒れていて皆外に馬を出して走らせているような状態だったので、勝てるなんて夢にも思っていませんでした。それがまさか内を差して来るなんて!どこに幸運があるかわからないものですね。一番人気になっていても、勝つのは難しいものですが本当に良かったなぁ」その時を思い出しながら幸せに満ちた優しい笑顔で気持ちを打ち明けてくれた堀さん。表彰式でもらった花束は、ロードクエストを応援してくれたファンの方々にお礼の気持ちを込めてブーケトスのようにパスしたそうだ。「ロードクエストには良く頑張ったな!と声をかけてあげたいです。こんなに幸せな気持ちにさせてもらえるなんてめったにない事です。あの小さい体で良く頑張ってくれたななんて考えていたらいつのまにか涙が頬を伝っていました。この勝利は、ロードクエストやマツリダワルツに関わった全ての関係者の方々のおかげです。全てに恵まれてこういう結果に導かれました。感謝の気持ちでいっぱいです。」

   仔馬の頃は人懐っこい性格で、体型は小さいながらも筋肉質で馬格が良く、当歳の頃でも抑えきれないくらいの力強さを持っていたそうだ。母マツリダワルツは現在父プリサイスエンドの牡を子育て中で、父ゴールドヘイローを受胎していてこちらも楽しみだ。

   「これから血統が良い強い馬がどんどん出てくるから、胸を借りてどこまで行けるか楽しみです。怪我無く病気無く頑張って欲しいですね。」(堀さん)今後は朝日杯FS(G1)かホープフルS(G2)など距離面で色々な路線選択を考えているようだ。

   様似町の小さな牧場で生まれたロードクエスト。その名が示すように、勝利への道を探求し、どんな成長をしていくのか。未知なる可能性を秘めたロードクエストの強烈なパフォーマンスにこれからも期待したい。