重賞ウィナーレポート

2014年04月03日 若草賞(GDJ)

2014年04月03日 名古屋競馬場 晴 良 ダ 1400m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:トーコーニーケ

プロフィール

生年月日
2011年04月22日 03歳
性別/毛色
牝/鹿毛
戦績
国内:10戦4勝
総収得賞金
37,973,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
ナリタフローラ  by  サンデーサイレンス(USA)
馬主
森田 藤治
生産者
天羽牧場 (門別)
調教師
吉行 龍穂
騎手
川原 正一
  • トーコーニーケの母ナリタフローラ(16歳)
    トーコーニーケの母ナリタフローラ(16歳)
  • ナリタフローラは桜花賞馬ファイトガリバー(写真左)といっしょに過ごすことが多い
    ナリタフローラは桜花賞馬ファイトガリバー(写真左)といっしょに過ごすことが多い
  • トーコーニーケの半弟ナリタフローラ2013(牡1歳、父エンパイアメーカー)
    トーコーニーケの半弟ナリタフローラ2013(牡1歳、父エンパイアメーカー)
  • 天羽牧場の厩舎
    天羽牧場の厩舎
  • 天羽牧場の看板
    天羽牧場の看板

 2009年から昨年まで福山競馬場で行われていた「若草賞」。今年からは名古屋競馬場へ舞台を移し、『グランダム・ジャパン2014』3歳シーズン第2戦として行われることになった。その節目となる一戦を制したのは、圧倒的1番人気に支持された兵庫所属のトーコーニーケ。2番手追走から満を持して抜け出し、1月の園田クイーンセレクションに次ぐ重賞2勝目を遠征の地で飾った。

 トーコーニーケの生まれ故郷は、日高町の天羽牧場。1930年の創業と歴史は古く、現在の繁殖牝馬は17頭。これまでに1996年の桜花賞(G1)を制したファイトガリバーをはじめ、1983年のエリザベス女王杯優勝馬ロンググレイス、クラシックに駒を進めたナリタタイセイ、マックスキャンドゥ、マックスロゼ、芝中長距離戦線を沸かしたチャクラなど、多くの活躍馬を送り出してきた。

 「名古屋への輸送も2回目で慣れたでしょうし、実績ある距離(ダート1400m)で強い競馬を見せてくれました。優勝できて本当に嬉しいです」と喜びを語ってくれたのは、同牧場の天羽真崇さん。2月に初めて遠征した梅桜賞(名古屋)では惜しくも2着に敗れたが、その時に先着を許したユノエスケープを退け、見事に重賞の舞台で雪辱を果たした形だ。

 トーコーニーケは、父キングカメハメハ、母の父サンデーサイレンスという良血馬。母ナリタフローラ、祖母ナリタレッドバード、3代母ビューティマリヤともに天羽牧場の生産馬で、代々つないできた血統から活躍馬が誕生したことに、喜びもひとしおのようだ。「この牝系から、また結果を出せたことが嬉しいです」と話す天羽さん。トーコーニーケの3代母ビューティマリヤは、ナリタタイセイ、ファイトガリバーの母で、その牝系からはナリタプロテクター(天羽牧場生産)、コスモフォーチュン(荒井ファーム生産)、コスモプラチナ(荒井ファーム生産)、イグゼキュティヴ(沖田忠幸牧場生産)など、多くの活躍馬が出ている。

 母ナリタフローラはJRAで1勝を挙げ、引退後に里帰りして繁殖生活を始めた。「ナリタフローラはやや神経質な面があり、最初のうちはそうした気性が仔に遺伝して苦労しましたが、繁殖成績は上がってきました。交配種牡馬の長所を引き出すタイプです」と天羽さんが話すように、トーコーニーケの1歳上の半兄メイショウヤマホコ(牡4歳、父タニノギムレット)は昨年、JRAで新馬勝ちを収め、2戦目にアーリントンC(G3)へ挑戦して4着に入る素質を垣間見せている。

 「ナリタフローラは16歳となった今年も健在で、タニノギムレットの仔を受胎しています。放牧地の中では相棒となる馬を見つけて、いつもペアで過ごしています。最近は、ファイトガリバーがそのパートナーです」と、その近況を知らせてくれた天羽さん。放牧地へ会いに行くと、父サンデーサイレンス譲りの大きな流星をこちらに向けて、ファイトガリバーとともに出迎えてくれた。

 そんな母の8番仔として生まれたトーコーニーケは、1歳6月まで天羽牧場で過ごし、その後は高昭牧場がコンサイナーとなってサマーセールへ上場。1,050万円(税込)で落札された。「当歳時から馬体は良かったですね。脚元も丈夫で、せりまで順調に育ちました。市況の厳しい時でしたが、高い評価をしていただいたと思っています」とトーコーニーケの幼少期を振り返る天羽さん。

 現在、トーコーニーケの半弟にあたる1歳牡馬(父エンパイアメーカー)が順調に育っており、天羽牧場の起伏に富んだ放牧地を元気に駆けている。姉同様、今年のサマーセールに上場を予定しているそうだ。また、JRAで3勝を挙げた半姉のマヤノマヤ(父タイキシャトル)が里帰りし、今年、初仔となる牡馬(父ワークフォース)を出産。優秀な血を引くファミリーの枝葉は、天羽牧場で順調に伸びているようだ。

 「トーコーニーケには、グランダム・ジャパンシリーズ優勝を目指して頑張って欲しいですね。あと1つ勝てば、上位に入るチャンスもあるでしょう。牧場時代から脚元の丈夫な馬でしたし、これからも息長い活躍を願っています」と愛馬へエールを送る天羽さん。シリーズ後半戦には、実績ある名古屋と地元・園田の対象レースが組まれており、必然的に3歳シーズン女王へ向けた期待も高まる。その良血を大きく花開かせる瞬間が、間近に迫ってきているのかもしれない。