重賞ウィナーレポート

2014年04月06日 ダービー卿ChT G3

2014年04月06日 中山競馬場 曇 稍重 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:カレンブラックヒル

プロフィール

生年月日
2009年02月19日 05歳
性別/毛色
牡/黒鹿毛
戦績
国内:12戦6勝
総収得賞金
332,847,000円
ダイワメジャー
母 (母父)
チャールストンハーバー(USA)  by  Grindstone(USA)
馬主
鈴木 隆司
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
平田 修
騎手
秋山 真一郎
  • あのオルフェーヴルも育成されたC-1厩舎
    あのオルフェーヴルも育成されたC-1厩舎
  • 高見厩舎長はオルフェーヴルのフランス遠征にも同行した
    高見厩舎長はオルフェーヴルのフランス遠征にも同行した
  • 数多くの名馬たちがこの坂路をステップに、栄光へと駆け上がっていった
    数多くの名馬たちがこの坂路をステップに、栄光へと駆け上がっていった

 2012年の毎日王冠(G2)以来、このダービー卿ChT(G3)が約1年半ぶりの勝利。3歳1月のデビューから破竹の勢いで連勝を重ね、ニュージーランドT(G2)では初重賞制覇、NHKマイルC(G1)では初G1制覇、そして毎日王冠(G2)では初の対戦となる古馬を撃破と、その勢いは止まる事を知らないように思えたカレンブラックヒルが、まさかその毎日王冠(G2)のあとから6戦連続して敗戦を繰り返すとは誰が想像し得ただろうか。

 14着に敗れた昨年の安田記念(G1)の後、2歳時以来にノーザンファーム空港牧場へと戻ってきたカレンブラックヒルに会った高見優也厩舎長は、2歳時に感じた覇気が今のカレンブラックヒルから薄れているのを感じた。

 「平田先生からは、この調整期間の間に気持ちを入れてくれるようにも頼まれましたが、確かに以前のような元気の良さが無く、精神的にも疲れているのではないかと感じられました」(高見厩舎長)

 以前のような覇気を取り戻すため、高見厩舎長がカレンブラックヒルに対して行った取り組みは、カレンブラックヒル自身が走る気になることを優先して、決して焦ることなく、馬のペースを優先させながら調教メニューを組んでいくことだった。

 「入厩させる時期ぎりぎりになって、ようやく覇気が出てきたような印象を受けました。あとはノーザンファームしがらきのスタッフ、そして平田厩舎のスタッフの皆さんに、いい時のカレンブラックヒルを、以前のようなレースができる状態まで戻してくれることを信じていました」(高見厩舎長)

 それでも結果はすぐには現れては来なかった。約5か月ぶりの出走となったマイルChS(G1)では、勝ち馬から2秒1も遅れての18着。年明けの阪急杯(G3)も11着。しかしこのダービー卿ChT(G3)では追い切りの動きも良く、復活の予感を高見厩舎長も感じ取っていた。

 「また今回は前でレースをさせるとも聞いていたので、自分の能力を出し切ることができるのではとも思っていました」(高見厩舎長)

 ゲートが開くと、戦前に聞いていたように、ハナに立ったのはカレンブラックヒル。しかし1000m通過57秒9という激しい流れの前に、一度、馬群の中に包み込まれてしまう。しかし、最後の直線で再び先頭に立つと、そのまま押し切ってゴール。逃げ切りとはいかなかったものの、その分、競り合っても強いという新たなカレンブラックヒルの姿を見せる結果となった。

 「最後の直線で盛り返してくれたのは、追い切りにも現れた状態の良さもあったと思います。それはしがらきのスタッフや、平田厩舎のスタッフの皆さんが心身共にカレンブラックヒルを立て直してくれたからであり、オーナーやジョッキー共に、みんなで喜びを分かち合える結果になったと思います」(高見厩舎長)

 今回、喜びの声を聞かせてもらった、高見厩舎長の管理するノーザンファーム空港牧場のC-1厩舎であるが、4月20日の皐月賞(G1)にも有力馬の一頭、バンドワゴン(牡3、石坂厩舎)を送り出している。

 「バンドワゴンも前に行った方が持ち味を出せる馬なので、カレンブラックヒルのように自分らしいレースをしてくれて、それでいい結果を残せたらと思います」と笑顔を見せる高見厩舎長。実は生産牧場であるノーザンファームは、カレンブラックヒルの勝利でなんと7週連続の中央重賞制覇。今週の桜花賞(G1)や阪神牝馬S(G2)にも有力馬を送り出しており、8週連続重賞制覇が達成した暁にはバンドワゴンが9週連続重賞制覇を、皐月賞(G1)勝利で飾ってくれるのかもしれない。