重賞ウィナーレポート

2013年06月04日 北海優駿(DW2013)

2013年06月04日 門別競馬場 晴 良 ダ 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ミータロー

プロフィール

生年月日
2010年03月16日 03歳
性別/毛色
牡/栗毛
戦績
国内:12戦4勝
総収得賞金
24,287,000円
プリサイスエンド(USA)
母 (母父)
サカノエンジェル  by  リンドシェーバー(USA)
馬主
小林 祥晃
生産者
静内酒井牧場 (静内)
調教師
田中 淳司
騎手
服部 茂史
  • ミータローの母サカノエンジェル(12歳)
    ミータローの母サカノエンジェル(12歳)
  • ミータローの生産者・静内酒井牧場の酒井寛崇さん
    ミータローの生産者・静内酒井牧場の酒井寛崇さん
  • ミータローの半妹サカノエンジェル2013(牝、当歳、父アポロキングダム)
    ミータローの半妹サカノエンジェル2013(牝、当歳、父アポロキングダム)
  • 静内酒井牧場の放牧地
    静内酒井牧場の放牧地
  • 代表産駒ベラミロードの名前が入った静内酒井牧場の看板
    代表産駒ベラミロードの名前が入った静内酒井牧場の看板

 「ダービーウイーク2013」の第3戦は、門別グランシャリオナイターを舞台に行われた北海優駿(ダービー)。単勝1.4倍の圧倒的人気に支持されたミータローが、中団位置からまくって先頭集団へ追いつき、直線では2番手以下を突き放す横綱相撲で見事にダービー馬の栄冠を勝ち得た。ミータローは、昨年のホッカイドウ競馬開幕日に行われたスーパーフレッシュチャレンジ競走に優勝し、2010年生まれ世代として日本で最も早く勝ち名乗りを挙げたサラブレッド。オーナー・小林祥晃氏(Dr.コパさん)の愛馬らしく、派手でインパクトのある勝利に縁がある。

 ミータローの生まれ故郷は、新ひだか町静内の静内酒井牧場。繁殖牝馬11頭を抱える家族経営の牧場で、過去の生産馬には、JRAや南関東の重賞で好走を繰り返し、2000年のNARグランプリ年度代表馬に選出された北関東の名牝ベラミロード、1999年のフェアリーS(G3)を制したベルグチケット、2002年の忘れな草賞を制し、オークス(G1)でも3着に健闘したユウキャラットなどの活躍馬がいる。

 「前走のカジノドライヴ賞(北海優駿トライアル)が強い内容でしたので、ここも勝ち負けになると期待していました。パドックでは落ち着いていて、風格が出てきたなぁと感じました。心身ともに成長し、好状態でダービーを迎えることができましたね。レースでは、早めに先頭に立って突き放す強い競馬だったと思います。ゴールした時は本当に嬉しかったです」とダービー制覇の喜びを表現するのは、生産者の酒井寛崇さん。当日は、オーナーのDr.コパさんらと共に現地で愛馬を応援し、ダービーの口取りにも参加できたそうだ。「競馬場へ生産馬の応援に行って、目の前で勝利の瞬間に立ち会えることはめったにないですから…本当に良かったです」と、感動の一幕を思い出しながら話してくれた。

 ミータローは、2011年のサマーセールで取引された馬。Dr.コパさんが315万円(税込)で落札し、ホッカイドウ競馬の田中淳司厩舎からデビューすることとなった。ミータローが牧場で過ごした時期について酒井さんは、「当歳から放牧地ではよく動いていました。少し気性のカリカリした面があったので、そのあたりを考慮しながらせり馴致を施しました」と振り返る。

 ホッカイドウ競馬でデビュー戦から2連勝を果たしたミータローは、夏場に函館2歳S(G3)、クローバー賞とJRAの芝レースへ挑戦。秋には川崎、水沢へ遠征して2歳重賞を戦い、冬期間は南関東へ転厩して世代トップレベルの馬たちと鎬を削ってきた。そして、今季開幕と共にホッカイドウ競馬へ戻り、クラシック一冠目の北斗盃は惜しくも2着。次走の北海優駿トライアルで約11か月ぶりの勝利を挙げ、本番の北海優駿(ダービー)を制するというサクセスロードを歩んできた。

 ミータローの母サカノエンジェルも静内酒井牧場の生産馬で、ホッカイドウ競馬からデビューしている。その後、兵庫、金沢と渡り歩いて32戦を戦ったものの結局1勝しか挙げることができず、3歳暮に現役を引退して繁殖入り。そして、プリサイスエンドとの交配で4番仔として生まれてきたのがミータローだった。「母のサカノエンジェルは、バランスの良い馬です。自身は小柄ですが、比較的大きな仔を産んでくれます。今年はエーシンフォワードを交配しました」と、ダービー馬の母を紹介。ミータローの後にも、父ブラックホークの牝馬(1歳)、父アポロキングダムの牝馬(当歳)を順調に産んでおり、静内酒井牧場の放牧地で元気に育っている。「1歳のブラックホーク産駒は、ミータローと同じくサマーセールへ上場する予定です。母同様に均整のとれた馬で、幅がありますね。今年生まれたアポロキングダム産駒も、1歳とタイプは似ています。大きな馬体に育っていくでしょう」と、その妹たちにも期待を懸ける。

 「ミータローは早い時期に勝ち上がりましたが、3歳になって更に馬が良くなってきたように思います。いろんなところの競馬場で戦って、揉まれた経験が活きてきたのでしょう。2000m戦にもメドが立ちましたし、次走予定のジャパンダートダービー(Jpn1)も楽しみになりました。仕事の都合がつけば、大井競馬場まで応援に行きたいと思います」と意気込む酒井さん。ホッカイドウ出身馬としてはオリオンザサンクスが第1回のジャパンダートダービー(G1)を制しているが、ホッカイドウ所属馬が制するとなると史上初の快挙。2歳時の鎌倉記念では、のちの東京ダービー馬インサイドザパークと差のない競馬をしているだけに、成長力も含めて大仕事をやってのける可能性は否定できない。ホッカイドウ競馬代表として堂々と世代のトップを目指し、Dr.コパさんのもう1頭の愛馬ラブミーチャンとNARグランプリ年度代表馬の座を争うような存在になってくれることを願う。