重賞ウィナーレポート

2012年09月29日 シリウスS G3

2012年09月29日 阪神競馬場 曇 良 ダ 2000m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ナイスミーチュー

プロフィール

生年月日
2007年04月16日 05歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:29戦6勝
総収得賞金
193,507,000円
キングカメハメハ
母 (母父)
ローザロバータ(USA)  by  Fire Maker(USA)
馬主
(株) ダノックス
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
橋口 弘次郎
騎手
小牧 太

 2007年のセレクトセール当歳セッションにおいて、1億1340万円(税込)という高評価を受けたのが、当時のナイスミーチュー。父キングカメハメハ譲りの好馬体は、この時のセールでも一際目を引いていた。

 「半兄にはフライングアップル(スプリングS(Jpn2)勝利)と血統も素晴らしかったですし、育成厩舎に来た頃も馬体の良さが目を引きました。本格的な騎乗馴致に移ってからもおとなしくて、手のかからない馬だと思いました」とはノーザンファーム空港牧場で調教主任を務める犬伏健太さん。その後の調教も順調に進んで行き、乗り味の良さを誰もが評価するも、犬伏さんは一つだけ気がかりなことがあった。

 「他の2歳馬たちと比べても充分に合格点を上げられるだけの馬だったのですが、トモがパンとしてくるのに時間を要していました。早くにデビューさせてあげられそうとは思いましたが、本当に良くなってくるのは、トモを含めた馬体がしっかりとしてくる、古馬となってからなのではないかと思いました」

 2歳の11月にデビューを果たしたナイスミーチューではあるが、初勝利をあげたのは、5戦目となる3歳未勝利戦。実はこの条件は後に頭角を現すこととなる、ダートの中距離戦だった。

 「育成時の印象としては、芝でもダートでも苦にしない走りをしていました。初勝利を上げたあとは勝ちきれないレースこそ続いていきますが、それでもレースを使われながら徐々に力を付けていったのでしょう」

 ナイスミーチューに転機が訪れたのは、今年に入ってからだった。それまでの主戦場だった芝からダートに切り替えると、いきなり勝利をあげただけでなく、掲示板を外さない安定したレースぶりで、いつの間にかオープン入り。重賞勝ち馬が揃っていたこのシリウスS(G3)でも、2番人気の評価を集めるまでに至った。

 「元々、高い能力を持っていた馬ですし、競走馬として完成を迎えていく中で、ダートという条件が合っていたのでしょう。それにしてもこれだけのメンバーを相手に、ハンデ戦とは言えども強いレースを見せてくれたことは、今後が本当に楽しみになってきます」

 ついに、セレクトセールからの高い評価に違わぬ成績を残したナイスミーチューではあるが、犬伏さん自身、これがピークの能力だとは全く思っていない。次走はみやこS(G3)で重賞2勝目を狙うローテーションが発表されたが、ここもあっさりと勝ち上がるようだと、混迷を深めつつあるダート戦線の新星ともなり得る。今後も遅咲きの天才の走りに注目したい。