重賞ウィナーレポート

2011年04月09日 NZトロフィー G2

2011年04月09日 阪神競馬場 曇 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:エイシンオスマン

プロフィール

生年月日
2008年04月29日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:8戦3勝
総収得賞金
110,456,000円
ロックオブジブラルタル(IRE)
母 (母父)
ゲルニカ(ARG)  by  Luhuk(USA)
馬主
平井 豊光
生産者
有限会社 ノーザンレーシング (安平)
調教師
松永 昌博
騎手
幸 英明
  • ブリーズアップセール上場時のエイシンオスマン
    ブリーズアップセール上場時のエイシンオスマン
  • 今年ブリーズアップセール上場予定馬の調教風景
    今年ブリーズアップセール上場予定馬の調教風景

 今年のニュージーランドトロフィー(G2)は、12番人気のエイシンオスマン(牡3)が、最後の直線で鋭く抜け出して勝利。この世代が日本での初年度産駒となるロックオブジブラルタルでは、最初の重賞ウイナーとなった。

 (有)ノーザンレーシングの生産馬であるエイシンオスマンは、セレクトセール2009の1歳市場にてJRA日本中央競馬会が落札。その後、浦河町の日高育成牧場で育成され、2010年のJRAブリーズアップセール2歳では、このセールの最高落札価格となる3000万円(税別)で平井豊光氏が落札した。

 「ロックオブジブラルタルの産駒ということもありましたし、母系からも注目をしていました。実馬の動きも柔らかく、手に入れられたらと思っていたところ、せりでは一声で落札することができました」とはエイシンオスマンの購買に関わり、そして育成にも携わってきた日高育成牧場の石丸睦樹業務課長。せりの後の7月中に日高育成牧場へと移動してきたエイシンオスマンは調教ごとに成長をとげていく。

 「気性もおとなしくて素直で、育成調教技術者養成研修に来ていた生徒を乗せていても、安心して調教を見守ることができました。せりの時に感じた柔らかい動きはそのままに、首を使ったスピード感溢れる走りには、当時から高い素質を感じていました」(石丸業務課長)

 このニュージーランドトロフィー(G2)でも育成時の走りそのままに、スピードに乗った走りを見せていく。直線で先頭に立ったとき、BTCのTVでレースを見守っていた石丸さんの脳裏には、「勝てるのでは」との思いがよぎったという。「それでも早めに先頭に立ったときには、後ろから他の馬が来るのではと、知らず知らずのうちに力が入っていました(笑)」(石丸業務課長)

 毎年、調教から得たデータを研究、そして発表しているJRA育成馬であるが、エイシンオスマンが育成されていた08年世代は坂路調教をメインとして進めてきた世代でもあった。「1歳の10月から坂路調教をはじめることにより、体力と心肺機能を早めに高めること念頭に置いてきました。その中でもエイシンオスマンは、そのメニューを一つ一つクリアしていく優等生でありました」(石丸業務課長)

 エイシンオスマンを初めとする08年世代で得た調教内容は、今年のブリーズアップセールに上場される09年世代にも生かされている。09年世代は例年より早く時計を出せるようなトレーニングがされただけでなく、ハロン18から20の時計で長めも乗り込まれてきた。

 「我々が取り組んでいる育成研究は、JRA育成馬の活躍だけでなく、データを残すことで育成調教の普及に繋げて行くという目的もあります。その中でエイシンオスマンが重賞制覇という実績を残してくれたことは嬉しいことですし、ブリーズアップセールにも追い風になってくれるのではと思っています」(石丸業務課長)

 その石丸さんは最近になって、エイシンオスマンが父のロックオブジブラルタルに似てきたと思うようになってきた。現役時はマイル戦線で活躍したロックオブジブラルタルだが、エイシンオスマンもこれからのマイル戦線を沸かす存在となっていきそうだ。