重賞ウィナーレポート

2011年02月26日 アーリントンC G3

2011年02月26日 阪神競馬場 晴 良 芝 1600m このレースの詳細データをJBIS-Searchで見る

優勝馬:ノーザンリバー

プロフィール

生年月日
2008年04月12日 03歳
性別/毛色
牡/鹿毛
戦績
国内:5戦3勝
総収得賞金
316,876,000円
アグネスタキオン
母 (母父)
ソニンク(GB)  by  Machiavellian(USA)
馬主
林 正道
生産者
ノーザンファーム (安平)
調教師
浅見 秀一
騎手
武 豊

 兄の無念を弟が晴らした。アーリントンC(G3)に出走したノーザンリバーは、ゴール前で前を行く馬を力強く交わして優勝。実はこのアーリントンC(G3)には、全兄のノットアローン(牡6、橋口厩舎)も08年に出走し、4着に敗れていたレース。また、母のソニンクにとっても、ノーザンリバーが初の重賞馬となった。

 重賞馬こそ送り出していなかったものの、ソニンクは非常に優秀な繁殖牝馬である。モンローブロンド(牝9)が4勝をあげて、ファンタジーS(G3)で2着。ノットアローンは3勝をあげており、ラジオNIKKEI賞(Jpn3)では2着、セントライト記念(Jpn2)では3着。ランフォルセ(牡5、萩原厩舎)はダートで5勝をあげてオープン入りを果たしている。また、一番仔のアコースティクス(牝10)は、ダービー馬ロジユニヴァース(牡5、萩原厩舎)の母でもあり、名牝系の基礎牝馬としての期待も大きい。

 ノーザンリバー自身、セレクトセール2009の1歳セクションでは、アグネスタキオン産駒の中で最高額となる5600万円(税抜)で落札されているが、ソニンクの産駒実績からしても頷けるところである。それでも、ノットアローンが芝での活躍を見せているのにも関わらず、ノーザンリバーはダートで2勝と、半兄のランフォルセと彷彿とさせるような活躍を見せていた。

 「ノットアローンが調教されている姿を見たことがありますが、馬体が全く違っていましたね。ノーザンリバーの方がコロンとしていて、乗り始めの頃から動きも良かったですよ」と話してくれたのは、ノーザンファーム空港牧場の今井翔一さん。ゲートを嫌う素振りを見せた他は、怪我も無く順調に調教も進んでいったというが、決してダート馬と言う印象は無かったとも言う。

 「勝ち上がりこそ遅くなりましたが、3歳未勝利戦で大差勝ちをしてくれた時には、『ダートでもあれだけのレースを見せてくれるんだ』と思ったのが正直な気持ちでした」(今井さん)

 確かにメイクデビューを含めて芝では2度敗れているが、デビュー戦はあのレーヴディソールの2着であり、2戦目も勝ち馬と0秒1差と、決して芝が合ってなかったというわけではなかった。芝でも充分にやれるとの思いを抱きながら見ていたアーリントンC(G3)だったが、ノーザンリバーは馬場やペースの違いも気にすることなく、先行勢を射程に捕らえる位置でレースを進めていく。

 「上手く流れに乗ってくれましたし、追い出すタイミングなど、武豊騎手のおかげだと思います。賞金面でクラシックを目指せるようになったのも嬉しいですね」(今井さん)

 実は今井さんの所属している厩舎では、もう一頭、クラシック出走を確定させている3歳馬がいる。その馬とは、昨年の朝日杯FS(G1)を優勝し、JRA最優秀2歳牡馬にも選出されたグランプリボス(牡3、矢作厩舎)。同じ育成厩舎ということもあり、併せ馬をしたときの印象を聞いてみたが、今井さんからは意外な答えが返ってきた。

 「今から思い返すと、一度も同じ組で調教をしたことが無かったんです。このままだと、初めての併せ馬はG1の舞台となりそうですが、その時はぜひとも2頭の応援に行きたいですね」(今井さん)

 2頭の活躍は自分たちの励みになっています、と付け加えてくれた今井さん。厩舎スタッフとしてはどちらを応援していいか悩むところだろうが、いずれにせよ、G1の後には誰の顔にも笑顔が溢れるような結果が出ているのではないだろうか。