馬産地コラム

マサラッキを訪ねて~日進牧場

  • 2015年07月09日
  • マサラッキ
    マサラッキ
  • 小船さんとマサラッキ
    小船さんとマサラッキ
  • 性格はとても大人しい
    性格はとても大人しい
  • 専用放牧地でのんびり過ごしている
    専用放牧地でのんびり過ごしている

 生まれ故郷浦河町の日進牧場中期育成共同牧場で功労馬として余生を送っているマサラッキを訪ねた。

 競走馬現役時代は、通算30戦9勝。3歳時に4勝をあげて以降は短距離の重賞路線に定着、1997年函館スプリントS(G3)、1998年阪急杯(G3)、CBC賞(G2)、1999年高松宮記念(G1)を始めとする短距離重賞には欠かせない存在になり、コツコツ走り続け活躍した。2001年函館スプリントS(G3)5着を最後に引退、種牡馬として新たな生活を送る事になった。

 マサラッキの父マグニテュードは1975年愛国産。主な駒にエルプス(桜花賞(G1))、ミホノブルボン(ダービー(G1)、皐月賞(G1))、コガネタイフウ(阪神3歳S(G1))、ユウトウセイ(京都記念(G2))、コガネパワー(中日スポーツ杯4歳S(G3))などがいる。母ローズエントリーは1987年日進牧場の生産馬で、11戦3勝2着1回3着2回という戦績だ。

 日進牧場は浦河町西舎にあり、日高幌別川に沿うように広大な放牧地がある。天皇賞(秋)を勝ったホクトボーイや2冠馬ミホシンザンなどの生産牧場としても知られていて、生産から中期育成まで行っている牧場だ。

 種牡馬を引退後、生まれ育った日進牧場で生活するマサラッキは朝飼後、朝5時にマサラッキ専用の広く青草たっぷりの放牧地に出て、夕方4時位に馬房に帰り夕飼という生活をしている。

 中期育成スタッフの小船良介さんはマサラッキについて「22歳になりますが、今まで体調を崩したことはないですね。毛ヅヤも良く、食欲もありますし、冬は馬着なしでも元気に過ごしているんですよ。性格は、今でも若々しくやんちゃなところはあるのですが、基本的には大人しく人間に対してはとても素直です。反抗してくる馬はそういう所を直すための躾をするのですが、マサラッキに関しては直す所が無いですね。手を焼いたことがないです。」と褒めながら優しくブラシをかけると、気持ち良さそうに鼻先を伸ばしている。太陽の光に照らされて栗毛が一層輝き始めた。

 マサラッキが現役競走馬だった頃、別の会社で働いていたという小船さんは、「当時、短距離では抜群に強いことで有名でした。安定している良い馬だなと注目していたんですよ。あれだけ強い馬に携わってやってみたいなと思っていました。日進牧場で働くようになり実際扱ってみたら、歩いている時など前に行く推進力が力強くてやっぱり他の馬とは違うなと感じました。」前進気勢旺盛なマサラッキだが性格はいたって大人しく、隣の放牧地に牝馬が放れていても特に騒ぐ事無く草を食べながらのんびり過ごしているそうだ。

 「この牧場で生まれ育ち活躍して帰って来たマサラッキには、ご苦労様と言いたいです。これからもストレス無くのんびり過ごしてもらいたいですね。今でも毎月ファンや観光客が訪れて放牧地の前で写真を撮ったりしているんですよ。」皆に愛されている幸せなマサラッキは今日ものんびり草を食んでいるのだろう。