馬産地コラム

エスポワールシチーを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 冬の陽射しに栗毛の体がまぶしい
    冬の陽射しに栗毛の体がまぶしい
  • 現役を引退しても力強い歩様は健在だ
    現役を引退しても力強い歩様は健在だ
  • 軽快なキャンターも披露してくれた
    軽快なキャンターも披露してくれた

 “エスポワール”とはフランス語で希望という意味だそうだ。

 直訳すれば「希望の街」。

 その名前のとおりに、彼は多くの人たちにたくさんの希望を与えてきた。

デビュー8戦目に2勝目をあげると4連勝でオープン入り。初の重賞挑戦、初のG1チャレンジは健闘の域を出なかったが、その後はジャパンカップダート(G1)、フェブラリーS(G1)など5つのG1/Jpn1含めて重賞6連勝。一躍トップホースへと登りつめると同時に生産牧場である幾千世牧場には初のG1/Jpn1を、父ゴールドアリュールには初のJRAG1タイトルを送り届けた。

 同馬の陣営は、国内に敵なしと判断すると米国のブリーダーズカップクラシック(G1)にも挑戦。この時はデビューから19連勝中のゼニヤッタに挑戦したことも話題となった。果敢に先行し、伝統と格式あるチャーチルダウンズの競馬場で3角手前から4角、そして直線入り口ではあわや先頭というシーンは、日本のファンをしびれさせた。

 東日本大震災後、初めて盛岡競馬場で行われた「マイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)」では、圧倒的人気に応えて優勝した同馬に騎乗した佐藤哲三騎手(当時)は、表彰式後、ウイナーズサークルに集まったファンに対して最後のひとりまでていねいにサインをしていたという。

 そして、翌年の同レースでは後藤浩輝騎手を背にマイルチャンピオンシップ南部杯(Jpn1)2連覇。復帰後初となるG1/Jpn1タイトルで同騎手を励ました。通算成績は40戦17勝。この馬の活躍により、怪我のために繁殖生活を中断させていた母エミネントシチーは再び繁殖牝馬へと復帰することができた。長いキャリアの中で、歩んだ競馬場は国内外あわせて13。その先々で強いエスポワールシチーが多くの人たちの脳裏に焼き付いていることだろう。

 そんなエスポワールシチーも現役生活を引退。現在は、北海道新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬生活を送っている。供用2年目も元気いっぱい。取材に訪れた日も、雪残る放牧地を駆けまわっていた。

 「前向きな気性で走ることが大好きみたいです。隣の放牧地の馬と目が合うと、ライバル心むき出しにして、お互いやりあってます」と紹介してくれたのは同スタリオンステーションの山崎主任。

 ゲートから闘争心をむき出しにして先頭を走っていたシーンが、そんな光景と重なる。

 「何頭か、生まれたばかりの子馬を見せてもらいましたが、線のきれいな馬が多い印象です。ダート巧者にありがちな筋骨隆々というよりも素軽いというか、躍動感にあふれています。こうしたスピードは産駒に伝わってくれると思います。この馬自身は芝コースを使っていたこともあって初勝利に手間取りましたが、産駒は早い時期から活躍してくれそうな気がします」と期待している。

 初年度の配合数は生産地の期待がうかがい知れる110頭。供用2年目を迎えた今年も順調に数字を伸ばしている。

 これからは種牡馬として、日高の生産者に希望を与えるような、そんな存在になってほしいと。


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