馬産地コラム

タニノギムレットを訪ねて~レックススタッド

  • タニノギムレット
    タニノギムレット
  • 種付けシーズンに向けて体調は良好
    種付けシーズンに向けて体調は良好
  • 性格は父ブライアンズタイムと似ている
    性格は父ブライアンズタイムと似ている
  • パドトロワと近い放牧地にいる
    パドトロワと近い放牧地にいる

 新ひだか町静内のレックススタッドで種牡馬生活を送るタニノギムレット(カントリー牧場生産)を訪ねた。

 年が明けて雪が降る日が増し、各牧場の放牧地が白く覆われてきた。冬らしい冷え込みこそあれ、山沿いを除く日高地方は北海道にしては雪が少なく、例えば札幌方面から国道を通る人からは「雪少ないね」という言葉がよく返ってくる。

 今回の主役タニノギムレットは、今年16歳の冬を迎えている。2003年から種付けを始め、種牡馬生活は13年目。一昨年秋に社台スタリオンステーションからレックススタッドに移動し、現在は故郷から近い場所でダービー馬の血をつないでいる。

 「環境には慣れて、心身ともに良い状態です。丈夫で強い筋肉が特徴ですね。太りやすい面があり、種付けシーズン前の寒い時期は、そのあたりに気を付けながら体をつくっています。」と、紹介してくれたのは同スタッドの泉山義春場長。現場での呼び名は「ギム」。威圧感のある顔つきに加え、パンチのある馬体は変わらず。冬は朝6時30分から午後2時頃まで馬服を着せて放牧している。近くの放牧地には新入厩のパドトロワがいて、時折お互いに顔を合わせて、何やらコミュニケーションをとっている。

 「目つきの感じから気性がキツそうに見えますが、普段は大人しいですよ。ただ、大人しいふりをして急にかじることがあるので、若いスタッフには油断しないように注意しています。種付けはこちらで1シーズン終え、だいたい特徴はわかってきました。少し気分屋なところがあるので、馬の気持ちを大事にしながらしています。」と、泉山場長。さすがダービー馬とあって、見学時期は目当てのファンが多いという。場長曰く、急にかじる面については、場長が種牡馬時代を知る父ブライアンズタイムとそっくりらしく、見学の際はくれぐれもご用心を。

 第69代日本ダービー馬の本馬は、現役時代8戦5勝。2歳夏のダート1000m戦でデビュー後、尻尾の骨折が判明し、休養を挟んで暮れの阪神で初勝利を飾る。すると、シンザン記念(G3)、アーリントンC(G3)、スプリングS(G2)と瞬く間に重賞を3連勝し、クラシックの本命馬へと躍り出た。迎えた皐月賞(G1)では後方から脚を伸ばすも惜しくも3着に敗れ、続くNHKマイルC(G1)では直線の不利があって3着。これまでの快進撃とは裏腹に苦杯をなめた。それでもこの馬の潜在能力は高く評価され、迎えた大一番・日本ダービー(G1)では1番人気の支持を受けた。レースでは天才・武豊騎手を背に人馬一体となった走りを見せ、最後の直線は大きなストライドで豪快に伸びた。これまで先着を許したノーリーズン、テレグノシス、2歳王者アドマイヤドンやゴールドアリュール、後のG1・4勝馬シンボリクリスエスらを抑えてきっちり差し切り、見事1999年生まれの頂点に立った。

 残念ながら故障のため早期引退となり、種牡馬生活は4歳からスタート。初年度から10年連続で3ケタの交配頭数をマークし、これまで800頭を超す産駒がデビューしている。中でも初年度産駒のウオッカが2歳女王となってクラシックに駒を進め、父娘ダービー制覇の偉業を達成。それに合わせて2007年には240頭もの交配を記録し、種牡馬生活を軌道に乗せた。

 産駒は芝を得意とする馬が多く、JRAでの産駒重賞勝ちは全て芝。昨年はハギノハイブリッドが日本ダービー(G1)に駒を進め、かつてその舞台に立ったクレスコグランド、スマイルジャックは重賞勝ちを引っさげて今春から種牡馬入りする。ウオッカを筆頭に牝馬の活躍も目立ち、オールザットジャズ、ミッドサマーフェアが一線級で好勝負を繰り広げた。泉山場長は、「性別問わず走りますから、頼もしいですね。サンデーサイレンス系と相性が良く、重賞馬が続いています。リーディング上位のディープインパクトやハーツクライ、先々はオルフェーヴルといった肌馬とも合うでしょう。」と、新時代を駆ける配合を思い描く。最近では孫世代も増えてきて、昨年はタケルオウジがホッカイドウ競馬・2歳重賞を制している。

 2月中旬の種牡馬展示会が近づき、今シーズンの仕事がいよいよ迫ってきた。ここ2年、交配頭数は減ってきたが、クラシックを狙える種牡馬として実績は十分。第2のウオッカ誕生へ、目をギラつかせてチャンスをうかがっている。泉山場長は、「種牡馬の世界も競争が激しく、繁殖牝馬を集めるのは大変ですが、堅実に結果を出していきたいですね。20歳になるまでに新たな大物を出したいです。」と、意気込んでいる。府中で魅せたあのダイナミックな走りを待ち望むファンは多いはず。大人しいふりをしているギムに、何やら再び大仕事の予感がわいてくる。


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