アルデバランⅡを訪ねて~JBBA静内種馬場
新ひだか町のJBBA静内種馬場で種牡馬生活を送っているアルデバランⅡ(米国産)を訪ねた。
アルデバランⅡは1998年生まれの17歳。父が名種牡馬ミスタープロスペクター、母チャイムズオブフリーダムは英愛3歳牝馬チャンピオンという良血馬で、祖母アヴァイアンス、半弟グッドジャーニーもG1を制している。米英で現役生活を送り、卓越したスピードを武器に芝・ダートで好成績を収め、2003年にはメトロポリタンH(G1)などG1・3勝をマークし、米チャンピオンスプリンターに輝いた。
引退後は米国で種牡馬生活を送った後、2009年から同種馬場が繋養している。普段は朝から日中放牧しており、12月からは今季の種付けに備えて乗り運動を開始している。
「このところ冷え込みが厳しくなってきましたが、体調は安定して良いですね。馬自身は穏やかなで、物おじしない性格です。乗り運動ではいつも一生懸命で、本当に真面目な馬です。」と、紹介してくれたのは、同種馬場の中西信吾場長。ウォーキング撮影では一切ムダな動きをすることなく、黙々と引き手スタッフの指示に従っていた。額の星は上品に整い、この馬の個性を表しているようだ。
日本産の産駒はこれまで3世代がデビューし、昨年はJRAブリーズアップセールで2,160万円の値が付いたトーセンラーク(牝3歳)が夏のクローバー賞を快勝し、芝の牝馬重賞アルテミス(G3)とダートの交流重賞・兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2)で続けて3着に好走した。古馬の注目株ダンスディレクター(牡5歳)は抜群の瞬発力があり、準オープンまでトントンと出世。今年は大きな舞台に立てるのではないだろうか。
「産駒は父同様、芝・ダート問わず活躍しています。サンデーサイレンス系との相性も良く、ダンスディレクターがまさにそうした例ですね。仕上がりの早さも傾向としてあります。」と、中西場長は産駒の走りを見ている。アルデバランⅡ自身は現役時代、25戦のうち掲示板を外したのは2戦のみという堅実派で、前述のトーセンラーク、ダンスディレクターがまさにそうした戦歴で、父の血を彷彿とさせる。
昨年秋、海の向こうからビッグニュースが飛び込んできた。導入前に米国で誕生した産駒メインシークエンス(牡6歳)が快進撃を遂げ、父が苦杯をなめたブリーダーズCの、それもターフで先頭ゴールを決めた。芝12ハロンで示したそのパフォーマンスは、アルデバランⅡの種牡馬としての可能性を広げる。中西場長は、「嬉しい勝利ですね。国内外の産駒の走りを受けて、問い合わせは増えています。アルデバランⅡ自身の競走成績からはスピードのあるイメージが膨らみますが、馬体や血統背景からは距離がもって不思議ありません。メインシークエンスのように、芝10~12ハロンを得意とする馬は、もっと期待できると思います。日本のクラシックを狙える馬を送り出していきたいですね。」と、展望を語る。ブリーダーズCターフ(G1)優勝馬が飛び出し、父としても看板を光らせ始めたアルデバランⅡ。今度は父を超す息子、娘の登場を日本で心待ちにしたい。