馬産地コラム

クワイエットデイを訪ねて~ワールドファーム

  • 2014年09月18日
  • 女の子には優しい
    女の子には優しい
  • キリリとした超イケメンのお顔
    キリリとした超イケメンのお顔
  • 隣の放牧場にはワイルドなトウカイワイルドがいます
    隣の放牧場にはワイルドなトウカイワイルドがいます
  • 放牧場では静かに佇んでいる
    放牧場では静かに佇んでいる

 青森県三戸郡にあるワールドファームに、クワイエットデイを訪ねた。

 ワールドファームは、現在の場長である村上幹夫さんが三代目を継いだ、家族経営の牧場である。馬たちが暮らす厩舎と、村上さんたちが住む住居が並びにあり、その奥に放牧地が広がっていた。手前に居たのがトウカイワイルド、そしてその奥、森を背にしてジッとこちらを見ているのが、クワイエットデイだった。トウカイワイルドがその名の通り、ワイルドに動いているのとは対照的に、クワイエットデイはジッと静かに佇んでいる。その顔を見た瞬間、あまりのイケメンぶりにドキッとしてしまった。あめ色に光る体、細くスーッと通った流星、大きく潤んだ漆黒の瞳…。もしも人間だったなら、少女漫画に出て来る王子様タイプだ。

 うっとりしながら近づいて行くと、特に警戒することもなく、だからといって近づいて来るでもなく、ただジッと遠くを見つめている。村上場長曰く、「ノーザンファームさんからは、けっこうやんちゃだと聞いていたんですけど、うちに来てからは大人しいですね。普段は人懐っこい馬ですよ」ということだった。

 現役時代は、2007年のマーチステークス(G3)や2008年の平安ステークス(G3)を勝ち、古馬になって活躍したクワイエットデイ。2008年に現役を引退して、種牡馬としてワールドファームにやって来た。第二の馬生も大いに活躍が期待されていたけれど、1年目の受胎率がとても悪く、検査してみると繁殖能力に問題がみつかったという。「サンデーサイレンスの直仔が欲しかったので、クワイエットデイがうちに来ることになって、すごく喜んでいたんです。かなり期待もしていたんですけど、3年頑張って種付けしてみてやっぱり受胎しないので、種馬を引退することにしました。残念ですけど、こればっかりは仕方ないですね」と、村上場長。現在は種牡馬としての役目を終え、昨年から功労馬として悠々自適な生活を送っている。

 種付けシーズンになると、アテ馬としてのお仕事もこなしているそうだ。アテ馬というと言葉の響きが良くないけれど、繁殖牝馬たちをその気にさせる、なくてはならない重要な仕事だ。種牡馬からアテ馬になると、手がつけられないくらい暴れる馬もいると聞くけれど、クワイエットデイは女の子にガンガン向かって行くのではなく、とても上品に接するのだとか。見かけのカッコよさだけではなく、中身もしっかりカッコいい。さすが王子様だ。

 これまでに産駒たちは、7頭がデビューして中央地方で13勝を挙げている。種牡馬を続けられないのはとても残念だけれど、クワイエットデイの王子様遺伝子は、少数精鋭で次の世代へと受け継がれた。