馬産地コラム

ローレルゲレイロを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2014年05月12日
  • ローレルゲレイロ
    ローレルゲレイロ
  • 毛ヅヤ良く、黒光りしている
    毛ヅヤ良く、黒光りしている
  • 今季も体調は良く、丈夫な馬
    今季も体調は良く、丈夫な馬
  • 初年度産駒はいよいよ今年デビュー
    初年度産駒はいよいよ今年デビュー

 今年初年度産駒がデビューする種牡馬、ローレルゲレイロ(村田牧場生産)を訪ねた。今も現役として活躍する父キングヘイロー、かつては母の父テンビーがいた優駿スタリオンステーションで4年目のシーズンを迎えている。

 「競走馬を引退してから数年経ちましたが、まだ10歳と若く、体調は非常に良いです。種付けが混む時は1日3回、4回をこなしていますが、へこたれることはありませんね。丈夫な馬です。」と、近況を話してくれたのは、優駿スタリオンステーション主任の山崎努さん。短距離界のチャンピオンに輝いた馬とあって、放牧地や厩舎ではその自信を表すように堂々としている。

 「王様のようなタイプのキングヘイロー産駒らしく、馬同士では強いというか、キツイぐらいですね。」と、山崎さん。ウォーキング写真を撮る際も、G1のパドック出走馬を見ているかのようで、静かに迫力が押し寄せてくる。

 現役時代は31戦5勝。2歳夏のデビューから6歳秋まで息長く走り、3戦目以降は全て重賞で戦った猛者だ。2歳時から頭角を現し、朝日杯フューチュリティS(G1)、NHKマイルカップ(Jpn1)ではともに勝ち馬から0.1秒差の2着。父の姿をなぞるように好調期間は長く、G1勝利は5歳時、高松宮記念(G1)とスプリンターズS(G1)で成し遂げた。圧倒的なスピードで一気に逃げ切り、キンシャサノキセキ、スリープレスナイト、ビービーガルダンといった強豪を下してみせた。

 2011年の種牡馬入り後、41、48、50と交配頭数は推移し、堅実な数字をマークしている。初年度産駒となる2歳馬は21頭が血統登録されていて、いよいよベールを脱ぐ時が近づいてきた。父は6月の函館デビューだったことから、仕上がり早の産駒も十分予想できる。

 「2歳世代から評判の産駒を聞いています。ローレルゲレイロの持ち味であるスピードが確実に受け継がれれば、早い時期から楽しみですね。新馬戦からきっと良いレースをしてくれると思います。また、自身が故障なく走ったように、タフに走ってくれる産駒も期待できるでしょう。」と、山崎さんは産駒リストを眺めながら声を弾ませる。サンデーサイレンス系と配合できる強みを生かし、そうした配合も多数含まれている。ヴァーミリアン、エンパイアメーカー、カネヒキリ、ハービンジャーら新種牡馬のライバルに対して、どういった結果を残していけるか興味深い。

 ゴールデンウィークを過ぎ、種付けは今まさに繁忙期の真っ只中。厩舎施設から近い優駿記念館には、連日、多くの観光客が訪れている。販売コーナーには父キングヘイローのぬいぐるみがあれば、ローレルゲレイロのキャップも販売中だ。山崎さんは、「優駿スタリオンステーション色の強い血統ですから、やはり思い入れは強いです。熱烈なファンの方もいらっしゃいます。皆さんの期待に応えられるように、まずはしっかり実績を作って、更に交配頭数を増やしていきたいです。」と、成功への階段に真剣な眼差し。希望の優駿は新たな代へ_キングヘイロー、テンビー、ローレルゲレイロと、そのたすきは強固につながっていく。