馬産地コラム

カネヒキリを訪ねて~優駿スタリオンステーション

  • 2014年01月15日
  • カネヒキリ
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 砂の絶対王者は今、どんな時を過ごしているのだろうか。優駿スタリオンステーション(新冠町)にカネヒキリを訪ねた。厳冬期の北海道は日照時間が短いため、このところの放牧時間は午前7時30分から午後1時頃まで。時おり鼻をブルルンと鳴らしながら、うっすらと霜の被った牧草をおいしそうに食んでいた。

 「スタッドイン当初から雄大な馬格が目立っていましたが、3年が経っていっそう種牡馬らしい体つきになりましたね。サンデーサイレンス系の種牡馬としてはうるさくないし、大人しくて頭の良い馬。ケガを何度も克服してきた馬だから、通常の競走生活を送った馬以上に人間の手がかかっているのかな、とも思います」(優駿スタリオンステーション山崎努主任)

 度重なるケガに泣かされながら、不屈の闘志で何度も立ち直ってきたカネヒキリ。05年、08年と間隔を空けて授賞したJRA賞最優秀ダート馬のタイトルが、故障から復帰、完全復活までの道のりの長さを表している。

 最初の授賞となった05年は他を圧倒する走りで“砂のディープインパクト”と呼ばれ、3歳にしてダート路線の頂点に君臨した。翌06年にはドバイワールドカップ(G1)に挑戦して4着。同年秋に屈腱炎治療のため長期休養に入り、07年9月に一旦は帰厩するも、再発により再び放牧へ。そこから約1年間の休養を経て、08年11月の武蔵野S(G3)で戦列復帰。叩き2走目の08年ジャパンカップダート(G1)の勝利は05年に続く3年ぶり2度目の勝利で、06年フェブラリーS(G1)以来じつに2年10か月ぶりのG1タイトル獲得となった。さらに3週間後の東京大賞典(Jpn1)で同世代の好敵手ヴァーミリアンを退け、3年ぶり2度目のJRA賞最優秀ダート馬の座を手中にした。

 「ダートでこれだけの活躍をしてきた馬ですから、生産者の方々も明確なイメージを持って配合されています。そういう意味で間違いようがない種牡馬といえますね。とはいえ、父フジキセキは芝の活躍馬も多数輩出していますし、血統的にもダート一辺倒の印象はない。舞台を選ばない幅広い活躍が期待されます。生産者の方からも産駒を評価する声が聞こえてきますし、期待が膨らみますね」(山崎主任)

 供用を開始した11年度から168頭の配合相手を迎え、その後も12年175頭、13年158頭と今やすっかり優駿スタリオンステーションの看板種牡馬だ。初年度産駒が競馬場で走り出せば当然、その人気に拍車がかかるはず。楽しみの多いシーズンになりそうだ。