馬産地コラム

ローズキングダムを訪ねて~ブリーダーズ・スタリオン・ステーション

  • 2013年12月25日
  • ローズキングダム
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 競走馬にとって、たったひとつのアクシデントがいかに大きな影響を与えるのか。それをローズキングダムは身を持って教えてくれたような気がする。

 不敗の2歳王者。そして3歳秋には同期の皐月賞馬ヴィクトワールピサ、ダービー馬エイシンフラッシュ、この年の天皇賞(春)(G1)を制したジャガーメイルが出走していたジャパンカップ(G1)に勝利した。競馬が、優秀な血を残すための能力検定の場であるなら、ほかに何のタイトルが必要というのだろうか。

 しかし、出走すれば、おそらく人気を集めただろう有馬記念(G1)を病気(疝痛)のために取り消したあとからローズキングダムの競走人生は一変する。4歳以降は16戦1勝。とくに晩年は走る気を無くしたように二桁着順を連発し、新潟大賞典(G3)11着を最後に引退。日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬となることになった。

 「移動してきたのは6月14日です。もう、半年以上経つのですね」というのは同馬の担当スタッフだ。

 現在、ローズキングダムの日課は放牧のみ。与えられたのは、道路にもっとも近い放牧地で、その場所を自由気ままに歩き、走りまわっている。「まだ若い馬ということもあるのでしょうが、走るのは好きみたいです。とくに朝、放牧したときはひとしきり走りまわるのですが、その走りは素晴らしく、たくさんの方に見てほしいと思うような走りをします。軽快な走りというのは、本当にこの馬の走りのことを言うんだなぁって思います」という。その時間は見学時間ではないが、実際に何人かの生産者がその走りを見て褒めていったそうだ。さすが朝日杯フューチュリティS(Jpn1)、そしてジャパンカップ(G1)ウイナーだ。

 取材は、馬が必要以上にエキサイトしないように落ち着く時間帯で行われたのだが、それでも放牧地のローズキングダムはアグレッシヴだ。

 「この走りを産駒に伝えることができれば、キングカメハメハの代表産駒にふさわしい成績を残してくれると思います。普段のローズキングダムはまだ猫をかぶっている印象ですが、ボス的な気性も垣間見えますので、種付けを覚えたら“キング”になるような、そんな気がします」という。

 そして「これだけの馬ですから、この血統をさらに発展させて欲しいと思います。その可能性は十分にあると思いますし、そのためにも万全の準備で最初のシーズンを迎えたい」と期待に胸を膨らませている。