エーシンフォワードを訪ねて~レックススタッド
第27回マイルチャンピオンシップ(G1)をレコードタイムで勝ったエーシンフォワードは現在、北海道新ひだか町のレックススタッドで3年目のシーズンを迎えるための準備を行っている。あの日、史上まれにみるハイペースで流れたマイルチャンピオンシップ。リズムよく後方で流れにのったエーシンフォワードは、巧みなコーナーリングでインから抜け出した。あのとき京都競馬場の西日で輝いた鹿毛の馬体は、現在は決して馬産地日高の朝日を浴びて同じように美しい。やや丸みを帯びた体が種牡馬として充実している日々を物語る。
「とにかく良く動く馬です」というのはレックススタッドの泉山義春場長。確かに取材中のエーシンフォワードも、与えられた放牧地の中で、少しでも良い草を求めて歩きまわっていた。すぐ隣には産駒活躍中のスクリーンヒーローがいて、通路をはさんだ反対側にはベテランのホワイトマズルがいる。事務所からほど近い、比較的大きな放牧地。そこがエーシンフォワードに与えられた場所だ。
「動きたくて、動きたくて仕方ないようです。とくに、せまい厩舎にいるのが好きではないみたい」ということから同馬の放牧地には特別に出入りが自由にできる厩舎が建てられた。
「昼でも、夜でも自由に行き来できるようになって、馬も満足そうにしています。放牧地の中に厩舎を建ててから、精神的にも落ち着いてきたようです」という。
年が明けても9歳という若さ。「普段は扱い易い素直な馬ですが、やはり種付のときになると若さを前面に押し出すような元気を見せてくれます。生産者の方がたから見れば、頼もしいようです」と満足そうだ。
初年度産駒は決して多くはないが「きっと、この馬みたいに早い時期から活躍し、スピードと決めてのあるような子が生まれてくれるはず」とスタリオンスタッフが期待する。
父は米国に旋風を巻き起こしたストームキャットの直仔。自身にG1タイトルはないが、産駒は欧米日でG1勝馬となっている。父としても、また母の父としても注目を集めている血統だ。
「まだ若い種牡馬だから、初期の産駒が活躍してくれれば、多頭数交配にも十分に対応できるはず。それだけに早い段階から活躍馬を出して欲しいですね」というのはみんなの願いだ。