アドマイヤコジーンを訪ねて~レックススタッド
2002年の安田記念(G1)、1998年の朝日杯3歳S(G1)の勝ち馬、アドマイヤコジーン(大樹ファーム生産)を訪ねた。現在は新ひだか町静内のレックススタッドで種牡馬生活を送っている。
「丈夫な馬で、健康状態はずっと良いですよ。元気いっぱいですね。以前はうるさいぐらいの気性でしたが、昨年ぐらいからだいぶ落ち着いてきました。種付けは早く、しっかりこなしています。」と、近況を語ってくれたのは、同スタッドの泉山義春場長。今年17歳となる芦毛の馬体はすっかり白さを増し、新緑の放牧地ではひと際目立つ。夏が近づいてきたせいか、どこか涼しげな表情で迎えてくれた。
現役時代はG1・2勝を含む6勝。3連勝で朝日杯3歳S(G1)を制し、2歳牡馬チャンピオンに輝くも、伸び盛りの3~4歳時に2度故障し、1年半以上実戦から離れた。復帰後は勝利に恵まれなかったが、徐々に力を取り戻し、6歳時に東京新聞杯(G3)、阪急杯(G3)で重賞を連勝。2歳時以来のG1出走となった高松宮記念(G1)ではショウナンカンプの2着に敗れたが、続く安田記念(G1)ではダンツフレーム、エイシンプレストンらを下し、3年半ぶりのG1制覇を飾った。また、鞍上を務めた後藤浩輝騎手に、初のG1タイトルをプレゼントした。ラストランとなった香港マイル(G1)では、アウェイの地ながら勝ち馬から0.2秒差の4着に入り、日本G1馬の意地を見せた。その不屈の闘志と、天性のスピードは全国のファンを魅了した。
2003年より種牡馬入りし、これまで産駒350頭近くを競馬場へと送り出し、200頭を超す勝ち馬が誕生した。重賞馬は2007年のスプリンターズS(G1)を逃げ切ったアストンマーチャンをはじめ、昨今芝G1に挑んでいるマジンプロスパー、地方ダート重賞で結果を出したメトロノース、ユメミルチカラがいる。
「産駒の走りを見ていますと、確実に父のスピードが受け継がれていますね。短距離~マイルでは好成績が出ています。2歳から古馬まで活躍期間の長い産駒も多く、このあたりも父と重なりますね。」と、泉山場長は産駒実績を眺める。芝での勝ち馬が目立つが、スノードラゴン、ブルーデジャブのように、ダートを得意としてOPまで出世する馬も現れている。泉山場長は、「芝向きのキレを発揮する産駒もいれば、パワー型の産駒も出ています。芝でもダートでも大物を狙える種牡馬です。」と、確かな二面性を押し出す。
競馬場を去って10年が経過した今も、わざわざプレゼントを贈ってくるファンがいるという。夏からの見学期間中は、真っ先にアドマイヤコジーンの放牧地へ向かうファンも少なくない。「今も熱心なファンの方がいて、本当にありがたいですね。馬も喜んでいることと思います。これからも1頭でも多く交配牝馬を集めて、アストンマーチャンに続くG1馬を送り出したいです。」と、泉山場長。長く応援してくれているファンのためにも、もうひと花、ふた花咲かせたい気持ちがあふれる。真っ白な美しさに包まれた遺伝子をもって、大観衆の心に咲く産駒を仕掛けていく。