スペシャルウィークを訪ねて~レックススタッド
第65代日本ダービー馬・スペシャルウィーク(日高大洋牧場生産)を訪ねた。今季から新ひだか町静内のレックススタッドで種牡馬生活を送る。
ベテランの泉山義春場長が引き手をとり、厩舎からすぐの放牧地へスペシャルウィークを連れていく。白い息を吐きながら、スペシャルはやけに元気が良い。少し興奮気味に走っている。「最近、新しい馬を放牧地に出したからね。見かけない馬だから、騒いでいるんですよ。人間の声をよく理解しているし、賢いです。」と、泉山場長は話す。嫌いな馬や気に入らない馬がいると、感情をむき出しに威嚇することもあるという。そのあたりはサンデーサイレンスの血だろうか。
「移動してきて、体調自体は変わらず良いです。気の強いところはありますね。種付けは初めて手がけるので、やってみないとわからない部分はあります。こちらにいるサクラプレジデントと同じ血統構成なので、何か共通する特徴があるかもしれませんね。個性をよく掴んで、全力でバックアップしていきたいです。」と、気を引き締める泉山場長。「心配ないよ」と言っているのか、横目に雄たけびを上げながらスペシャルウィークは走り、雪を蹴散らした。18歳にしては、若々しい。
産駒はちょうど10世代がデビューし、ブエナビスタ、シーザリオといった名牝をはじめ、数々の重賞馬を送り出した。近年はダート路線で活躍が目立ち、ゴルトブリッツが帝王賞(Jpn1)を、ローマンレジェンドが東京大賞典(G1)を制した。また、ブルードメアとしても実績を伸ばしており、シーザリオの仔・エピファネイアが昨年のラジオNIKKEI杯2歳S(G3)を快勝し、グリントウィークの仔・ジェネラルグラントは昨年度のNARグランプリ/2歳最優秀牡馬に輝いた。
交配頭数は昨年こそ100頭を割ったものの、依然として高いレベルで推移している。今年は種付け料が150万円(受胎条件)とリーズナブルなだけに、再び3ケタの交配頭数も見えてくる。泉山場長は、「これだけの人気・実績ある種牡馬ですし、しっかりシーズンをクリアしていきたい。目下の代表産駒、ローマンレジェンドの走りにはとりわけ注目ですね。芝・ダートで一流馬を出していることは大きな魅力ですし、まだまだ大物を送り出していきたいと思います。」と、意気込んでいる。