馬産地コラム

スイープトウショウを訪ねて~トウショウ牧場

  • 2012年10月04日
  • スイープトウショウ
    スイープトウショウ
  • 現在、ステイゴールドを受胎している
    現在、ステイゴールドを受胎している
  • 今年生まれた牡馬(父ディープインパクト)
    今年生まれた牡馬(父ディープインパクト)
  • 2月29日生まれです
    2月29日生まれです

 宝塚記念(G1)、秋華賞(G1)など重賞6勝をマークし、2005年のJRA賞最優秀4歳以上牝馬に輝いた女傑、スイープトウショウを訪ねた。繁殖牝馬としてトウショウ牧場に里帰りしてから、まもなく5年が経とうとしている。

「11歳となった今年も元気いっぱいで、馬体は若々しいです。今年はステイゴールドを受胎しています。」と、近況を語るのは同牧場の志村吉男場長。アブが多い夏季は涼しい時間帯だけを放牧に充てて体調管理に努めた。最近ではすっかり秋の気配が漂い、馬にとっては過ごしやすい。馬体のハリ良く、独特の流星とキリッとした目の輝き、G1馬らしいオーラを感じさせる。8、9月の見学公開日には多くのファンが訪れ、彼女らしい姿を今一度見つめていた。

 現役時代は強烈な決め脚を武器に2歳から才能を発揮し、同世代のダンスインザムード、ダイワエルシエーロ、ヤマニンシュクルらと華麗な戦いを繰り広げた。気性面の問題で調教や発馬でスムーズさを欠くことがあったものの、古馬になってからも一線級の牡馬相手に好勝負し、2005年には上半期を飾る大一番・宝塚記念(G1)を制覇。ハーツクライ、ゼンノロブロイといった強豪を打ち破り、ウオッカやブエナビスタといった名牝さえも成しえなかったグランプリホースの名を掴んだ。

 繁殖牝馬としてはこれまで3頭の仔を生み、初仔のジュエルトウショウ(牝3歳、父アグネスタキオン)が今年、中央デビューを果たしている。血統は祖母にエプソムカップ(G3)の勝ち馬サマンサトウショウ、母がタバサトウショウ。母系からは活躍馬が出ており、スイープトウショウの半弟トウショウフリーク、同じく甥にあたるトウショウカズンは現オープン馬で、重賞勝ちも期待できる逸材。血筋を遡ると、天馬・トウショウボーイ、欧州最強現役馬との呼び声高いフランケルを上回る世界最高レートホルダー・ダンシングブレーヴの血が宿るだけに、大物が飛び出す可能性を大いに秘める。

 現在、同牧場にはスイープトウショウの2番仔(牝1歳、父ディープスカイ)と、3番仔(牡当歳、父ディープインパクト)が育っている。「1歳は順調に馴致をしております。立派な体つきで、芝が向きそうです。当歳は父に似て小柄で、マイペースな性格をしています。どちらも無事デビューできるように、しっかり育てていきたいです。」と、志村場長は語る。国内G1馬同士の配合からも、生まれながらに多くのファンの関心を寄せるだろう。新たな「トウショウ」の名馬を目指して、「母スイープトウショウ」の挑戦は始まったばかりだ。