ジョーディシラオキを訪ねて~大成牧場
2000年のチューリップ賞(G3)の勝ち馬、ジョーディシラオキ(大成牧場生産)を訪ねた。繁殖牝馬として10年目の春を迎えている。
ジョーディシラオキは現役時代、41戦5勝。ホッカイドウ競馬の出身で2歳時に3勝をマークして中央へ。3歳春に出走したチューリップ賞(G3)では人気薄ながら果敢に先行して抜け出し、後のG1馬チアズグレイスらを負かし、桜前線に乗った。
「チューリップ賞(G3)の時は家族で阪神競馬場へ応援に行きました。道悪をよくこなしてくれて、ゴールした時は喜びと驚きでいっぱいでした。仔馬の頃はオジジアン産駒らしくコロンとした体型で、中身がしっかりしている馬でした。」と、伝えるのは大成牧場の齊藤金吾社長。ジョーディシラオキの生産者でもあり、引退後も繁殖牝馬として手がけている。現在、体調面は良好。性格的には気が強く、放牧地では常にボスだという。15歳の馬体に衰えは全くなく、受胎率も上々。
繁殖入り後はこれまでに6頭の仔を出産し、今年はチチカステナンゴの仔を宿している。齊藤社長は、「ジョーディシラオキ自身は小柄なタイプでしたが、これまでの仔はデビューまでにグンと体重がのって、大型馬に育つことが多かったですね。その傾向を踏まえて、最近は薄手の種牡馬をかけ合わせるようにしています。」と、配合戦略を語る。デビュー前の仔には父アドマイヤムーンの2歳がおり、この馬がジョーディシラオキにとって初の牡馬となる。
齊藤社長は、「動きも良いし、申し分ない出来ですよ。牝馬が多く生まれている牝系なのですが、その中の数少ない牡馬が良い活躍をしているので、大いに楽しみにしています。」と、母仔重賞制覇に思いをめぐらせる。
血統をひも解くと、母ジョーディアレストは1986年の優駿牝馬オークス(G1)の5着馬で、その産駒には2002年のユニコーンステークス(G3)の覇者ヒミツヘイキがいる。ともに大成牧場生産馬で、この血統とは長い付き合いであり、実績も積み重ねてきた。牝系の祖はスペシャルウィークを出しているシラオキにたどる。
「長らく大切にしている血統ですからね。思い入れも深いジョーディシラオキでG1を狙える馬を出していきたいです。」と、熱意を語る齊藤社長。代々向き合ってきたファミリーゆえ、その特徴は十分承知。知り尽くしているからこそできる努力と工夫で、渾身の産駒を送っていく。