馬産地コラム

ナイスナイスナイスを訪ねて~日高町家畜自衛防疫組合(旧五輪共同育成センター)

  • 2012年03月07日
  • ナイスナイスナイス
    ナイスナイスナイス
  • ナイスナイスナイス
    ナイスナイスナイス
  • タマモヒビキと仲良し
    タマモヒビキと仲良し
  • 高齢馬ですが体調面は良好
    高齢馬ですが体調面は良好

 1989年のきさらぎ賞(G3)、1990年の京都記念(G2)の勝ち馬、ナイスナイスナイス(富田牧場生産)を訪ねた。現在は日高町の日高町家畜自衛防疫組合(旧五輪共同育成センター)で26歳の春を迎えている。

 「年齢以上に若いですね。馬体はしっかりしていて、飼い葉も残さず食べています。」と、牧場スタッフは明るく近況を伝える。東日本大震災の影響で日高町に移動してから半年が過ぎた。以前は東京競馬場で誘導馬を務めていた馬とあって、日高町でも人の言うことをよく聞く、扱いやすい馬だという。放牧地では年長の部類になるが、若い馬に威張ることなく、温厚な様子でいる。

 ナイスナイスナイスは父ナイスダンサー、母トキノコウジンという血統。現役時代は2歳時から頭角を現し、当時、西の2歳王者決定戦となっていた阪神3歳ステークス(G1)ではラッキーゲラン、アイドルマリーに次ぐ3着に健闘した。翌年春のきさらぎ賞(G3)で重賞初制覇を飾ったが、故障のためクラシックシーズンを棒に振る。順調ならば、ドクタースパートやウィナーズサークル、バンブービギンと大舞台を駆けていたことだろう。

 3歳暮れに復帰したナイスナイスナイスは徐々に本来の走りを取り戻し、明けて4歳春の京都記念(G2)に優勝。その後はスーパークリーク、イナリワン、メジロマックイーン、先日亡くなってしまったミスターシクレノンらとG1で対戦し、ターフを盛り上げた。通算成績は17戦4勝。春に重賞を勝った馬だけに、この季節にナイスナイスナイスを思い出すオールドファンも、まだまだ全国にいることだろう。

 現在はタマモヒビキ、トーセンシャナオー、ピットファイターらと同じ放牧地で悠々と過ごしている。BTCの引退名馬繋養展示事業の対象馬でもあり、問い合わせをすればファンの方も見学が可能だ。同世代にはオサイチジョージ、サクラホクトオー、シャダイカグラ、ライトカラーといった懐かしい名前が並ぶ。海の向こうで生まれたサンデーサイレンス、デインヒルも一緒だ。今年も、長生きするナイスナイスナイスを前にして、昭和から平成へと移ろうあの時の競馬話に、花を咲かせるファンの姿があるに違いない。