ネオユニヴァースを訪ねて~社台スタリオンステーション
「いま、もっとも世界的知名度のある馬かもしれません」と社台スタリオンステーションの徳武英介さんがネオユニヴァースを紹介してくれた。いうまでもなく、2003年春の2冠馬。
サンデーサイレンスの産駒として、皐月賞(G1)、そしてダービー(G1)の両方を制したのは、この馬が最初で、そしてそのあとにもディープインパクトがいるのみ。
現役引退後、種牡馬となると初年度から皐月賞馬アンライバルドを輩出して史上6組目の皐月賞父仔制覇を成し遂げると、同年のダービー(G1)をロジユニヴァースが優勝。サンデーサイレンス産駒のダービー馬として、最初にダービー馬の父となった。さらに翌年にはヴィクトワールピサが皐月賞に勝って、史上初めて2頭の皐月賞馬を送り出した皐月賞馬となった。飾る言葉は枚挙に暇がない。2007年、同09年には251頭の繁殖牝馬に配合を行って、年間最多種付を記録。そして、2010年は皐月賞馬ヴィクトワールピサが3歳時に有馬記念(G1)に優勝。さらに2011年のドバイワールドカップ(G1)を制して、その血が世界に通用することを示している。
「体型とかは異なりますが、もっともサンデーサイレンス産駒らしい雰囲気を持った馬だと思います」と徳武さんの口調もなめらかだ。どこか緊張感を漂わせる馬体で、薄い皮膚感も目を引く。
社台スタリオンステーションに2つある種付所の近くにある放牧地。歩道をはさんだ向かいにはフレンチデピュティがいて、そしてジャングルポケットとマンハッタンカフェにはさまれるような位置がネオユニヴァースの放牧地だ。ときおり、ジャングルポケットとは何らかの意思疎通を行なっている。同じダービー馬同士。通じるものがあるのかもしれない。
「まだ3世代の産駒をデビューさせたばかりですが、いろいろな面を見せてくれています」と徳武さん。産駒をデビューさせた頃は「ダートよりも芝向き」などと言われたが、2011年シーズンは圧倒的にダートの方が勝鞍は多くなり、JRAの通算勝利数も肩を並べるほどになった。また「牝馬に大物がいない」という陰口に対してはイタリアンレッドがサマーシリーズで活躍し閉口させた。与えられた課題をひとつずつ、クリアしているような、そんな種牡馬成績だ。
「産駒活躍の場がどんどん広がっていく、そんな印象です。これからも素晴らしい仔をたくさん出して、競馬サークル全体を盛りあげてくれるように頑張って欲しいです」と期待に胸を膨らませている。