ビッグゴールドを訪ねて~静内坂本牧場
2002年の中山金杯(G3)を制したビッグゴールド(せん13歳、父ブライアンズタイム 母ビューティフルゴールド)を新ひだか町の静内坂本牧場に訪ねた。
本馬は2000年10月京都競馬場のデビューを勝利で飾り、翌2001年のシンザン記念(G3)で2着に好走しオープン入りした。牡馬クラシックでは3戦全てに参戦し、皐月賞(G1)11着、日本ダービー(G1)9着、菊花賞(G1)13着と奮わなかったが、2002年の中山金杯(G3)で重賞初制覇を果たす。その後は芝の中長距離戦を中心に活躍、オープン戦2連勝から挑んだ2005年の天皇賞(春)(G1)では14番人気ながら2着に入って高額配当を演出した。
8歳となった2006年、前年に激走した天皇賞(春)(G1)13着を最後に金沢競馬に移籍、決してダートが得意という訳では無かったが、脚部不安と戦いながら金沢競馬で12歳になるまで走り続けた。競走成績94戦13勝(中央57戦6勝、地方37戦7勝)。足掛け11年間の長きに渡る現役生活だった。
引退後は熱心なファンを中心に設立された『ビッグゴールドサポーターズクラブ』に引き取られることとなった。千葉の牧場で7か月の休養を経て、6月12日に静内坂本牧場へとやって来た。
「本当は5月に移動してくる予定だったのですが、震災の影響で移動が遅れました。人懐っこくて、元競走馬とは思えないような穏やかで優しい目をしていますね」と語ってくれたのは静内坂本牧場の坂本光春さん。「天候を見て涼しい時間帯の放牧を行っていますが、ビッグゴールドはどちらかと言えば馬房でぼーっとするのが好きなようです。青草よりも乾燥牧草が好きですし、インドア派なのかもしれませんね」と笑う。
こちらに来て1か月、『競走馬のふるさと案内所』にも見学条件が公開され、早くもファンや会員が会いに来ているという。「ファンの方々からお預かりした大切な馬ですからね。ゴーちゃん(愛称)には10年20年と長生きして欲しいですね」と語ってくれた。11年間94戦にも及ぶ長い競走生活を終えたビッグゴールド。会員さんや坂本さんの愛情に包まれて、穏やかで幸せな余生を送って欲しいものだ。