馬産地コラム

フサイチホウオーを訪ねて~アロースタッド

  • 2011年03月10日
  • フサイチホウオー~1
    フサイチホウオー~1
  • フサイチホウオー~2
    フサイチホウオー~2
  • フサイチホウオー~3
    フサイチホウオー~3

 種付けシーズン真っ盛り。まだ残雪残る新ひだか町のアロースタッドに、種牡馬生活3年目を迎えているフサイチホウオーを訪ねた。

 まだ7歳。放牧地ではギラギラしたオーラを全身から漂わせ、引き締まった表情に気の強さが伺える。さすが2歳秋にデビューして新馬戦を楽勝すると、東京スポーツ杯2歳S(G3)、ラジオNIKKEI杯2歳S(G3)、共同通信杯(Jpn3)と不敗のまま重賞3連勝を記録。日本ダービー(G1)の大舞台で1番人気になったほどの馬だ。

 開口一番、同スタッドの本間一幸主任が「本当に元気な馬だよ。いや元気になったね」と同馬を紹介してくれた。聞けば、昨年の夏すぎくらいから激しさを前面に打ち出すようになったという。「今思えば、以前は借りてきた猫みたいだった」と、元気を取り戻した同馬をたのもしそうに、そして冗談交じりに話してくれた。確かに、一昨年の夏、昨年の夏に訪ねたときも、放牧地で忙しなく動き回っていたもののこれほどまでに激しくはなかったと記憶している。身のこなしが早く、動きそのものが機敏になった。動作のひとつひとつに迫力があり、ダイナミックだ。

 父ジャングルポケット。母はサンデーサイレンス牝馬で重賞入着馬アドマイヤサンデー。兄弟には、JRA最優秀2歳牝馬でオークス(Jpn1)優勝のトールポピーなど2歳時から高いレベルで活躍する馬が多い。こうした確かな血統背景が種牡馬としての豊かな将来性をうかがわせている。

 同馬を担当している志賀美信さんも「重賞を3つも勝っている馬ですが、もしかしたら、本当はもっと大きなタイトルを獲れた馬かもしれないと思っています。その能力を産駒に伝えて欲しいですね」と期待している。産駒の印象を訪ねると「体型的には、やや細身で父系の特徴を受け継いだような仔が多いと思います。まだ7歳と若いですし、来年デビュー予定の初年度産駒の中から活躍馬が出てくれると嬉しいです」と言葉を弾ませた。

 その初年度産駒は16頭。決して多いとは言えないが、その中には昨年の小倉記念(G3)を勝ったニホンピロレガーロの半弟などもいて楽しみが広がるラインナップとなっている。