馬産地コラム

ダノンゴーゴーを訪ねて~村山牧場

  • 2011年02月08日
  • ダノンゴーゴー~1
    ダノンゴーゴー~1
  • ダノンゴーゴー~2
    ダノンゴーゴー~2
  • ダノンゴーゴー~3
    ダノンゴーゴー~3
  • ダノンゴーゴー~4
    ダノンゴーゴー~4
  • 放牧地での様子
    放牧地での様子

 2008年のファルコンステークス(Jpn3)を勝ったダノンゴーゴー(牡6歳、父アルデバラン 母Potrinner)を熊本県大津町の村山牧場に訪ねた。

 本馬は2007年11月にデビュー、新馬戦で上がり33.3秒の末脚を繰り出し優勝、非凡な才能を感じさせた。千両賞(500万下)3着、さざんかステークス(OP)2着、明け3歳の500万下3着と惜敗続きだったが、2008年2月に2勝目を挙げると、続くファルコンステークス(Jpn3)では後方15番手から鋭い追込を見せて重賞初制覇を果たした。続くニュージーランドトロフィー(Jpn2)では7着に敗れたが、大きく人気を下げていたNHKマイルカップ(Jpn1)では“変則二冠馬”ディープスカイの3着に入り力を見せた。

 夏の休養後はスプリンターズステークス(G1)を目標に帰厩したが、ここで屈腱炎を発症し無念の長期休養となった。2年1か月ぶりの復帰戦となった鞍馬ステークス(1600万下)は12着と大敗、叩いて2戦目での巻き返しが期待されたが、屈腱炎を再発し引退が決まった。通算成績9戦3勝。本馬の重賞勝利は、近年、NHKマイルカップ(G1)優勝のダノンシャンティ、富士ステークス(G3)優勝のダノンヨーヨー、ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(G3)優勝のダノンバラードなどを送り出し、活躍が目覚しい馬主「ダノックス」にとって初の重賞勝ち馬となった。

 元々、馬が好きで競走馬生産もしたいと思っていたという村山さんだったが、人生を左右する大きな決断だけに躊躇していたという。そんな村山さんの背中を押したのは、2004年に放映されたドラマ、吉田善哉物語『運命の出会い~サラブレッドにかけた夢~(関西テレビ制作)』だった。「善哉氏の競走馬に賭ける情熱を知ると、『自分も競走馬を生産したい!』という気持ちが抑えられなくなりました。一念発起して繁殖牝馬セールに足を運び、2頭の繁殖牝馬から生産をスタートしました」と語ってくれた。

 その後も良質な繁殖牝馬を導入し続け、現在は預託を含めて11頭の繁殖牝馬を繋養している。その中には、阪神3歳牝馬ステークス(現阪神ジュベナイルフィリーズ)(G1)2着のローブモンタントや、半姉に6勝を挙げて活躍中のマハーバリプラムを持つオキザリス、近親にエリザベス女王杯(G1)勝ちのフサイチパンドラを持つヴェニーズワルツ、半兄に東京スプリント(Jpn3)勝ちのゼンノパルテノンを持つウィスパーカールなど、良血の繁殖牝馬が揃っている。

 昨年、生産2世代目のコウユーヒーロー(牡4歳)が荒尾たんぽぽ賞を勝ち、牧場に重賞初勝利をもたらしてくれた。生産3世代目はパティオ(牝3歳)、マサシ(牡3歳)がJRAで勝利、カシノユメコチャン(牝3歳)が荒尾のJRA認定競走勝ちと、3世代で10頭という生産頭数からは信じられないような活躍ぶりだ。

 新たにサラブレッド生産に参入し「“火の国”熊本の生産者は燃えてますよ!」と語る村山さんの情熱には驚かされた。

 そんな村山さんが種牡馬として期待を寄せる本馬については「屈腱炎で引退しましたが、日常生活には全く問題ありません。体調は良好で今シーズンからの種牡馬入りに向けて体力を付けています。種付けを覚えていないものあるんでしょうが、大人しくて頭の良い馬ですね」と近況を語ってくれた。熊本での種牡馬生活に期待したい。