ダンディコマンドを訪ねて~本田牧場
1997年の北九州記念(G3)を制したダンディコマンド(牡18歳、父ニホンピロウイナー 母ダイナスワップス)を熊本県熊本市の本田牧場に訪ねた。
本馬は1996年、明け4歳(現在の明け3歳)の1月に小倉競馬場でデビューした。1200mの新馬戦で2着に1.1秒差を付ける鮮烈なデビューを果たすと、2戦目の萌黄賞(500万下)では更に後続に1.5秒の大差を付ける圧勝、1600mに距離が伸びた3戦目のクロッカスステークス(OP)も勝ちデビューから3連勝を決めた。
スプリングステークス(G2)では2番人気に推されたものの4着、皐月賞(G1)では5着と勝ち切れなかったが、父がマイル戦を中心に快速で鳴らしたニホンピロウイナーだけに、この年より創設されたNHKマイルカップ(G1)での雪辱が期待されたが、ここで骨折を発症し残念ながら戦線離脱となった。
8か月の休養後、復帰戦となったクリスマスステークス(OP)では勝ったタイキマーシャルにハナ差の2着と惜敗したが、その先行力に陰りは感じさせず「今度こそ大舞台での活躍を」と期待された矢先、またしても骨折を発症してしまった。
次にターフに帰ってきたのは7か月後、武豊騎手と新コンビを組み、デビューの地・小倉で行われた降級戦の雲仙特別(900万下)に出走、1年4か月ぶりに勝利を飾ると連闘で(当時は1800m戦の)北九州記念(G3)に出走、1番人気に応えて重賞初勝利を果たした。残念ながらその後も2度の骨折で長期休養、地方競馬での再起も期待されたが、その願い叶わず2001年10月、門別でのレースを最後に引退した。通算成績12戦5勝。度々の骨折に泣かされ、現役生活の半分以上を休養で送る事となった本馬だが、父譲りのスピードが評価され、2002年より門別町(現日高町)のトヨサトスタリオンセンターで種牡馬入りした。
初年度は14頭、以後は7頭→7頭→4頭→19頭→10頭→2頭→0頭と種付け頭数は推移したが、2009年に繋養先のトヨサトスタリオンセンターの閉鎖が決まると、2010年2月に本田牧場へと移動し、こちらで種牡馬生活を続けることとなった。現在までの主な活躍馬には、ひまわり賞を勝ち桜花賞(G1)にも出走したミッキーコマンドの他、ダンディーサウンド、インタレスティングがJRAで勝ち星を挙げている。
「筋肉質でバネもあり、スピード血統で競走能力も素晴らしい馬だと思っていました。持ち込みの九州産馬(ミッキーコマンドやインタレスティング)が走った事もあり、九州産との相性も良さそうでしたからね」と語ってくれたのは、本馬に惚れ込んで導入を決めたという本田牧場の本田土寿さん。
本馬は昨年、熊本地区の繁殖を中心に18頭に種付けを行ったという。「扱いやすいし、種付けも上手ですよ。今年が九州での初産駒となりますから、早く生まれてくる仔が見たいですね」と楽しみにしている本田さんだ。ニホンピロウイナーのサイアーラインを繋ぐためにも頑張って欲しいものだ。