馬産地コラム

サイレントハンターを訪ねて~JBBA九州種馬場

  • 2011年01月31日
  • サイレントハンター~1
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 現役時代53戦11勝、11勝の内「スタートからゴールまで先頭で逃げ切ったレース」が8つ。産経大阪杯(G2)、新潟記念(G3)2回、日刊スポーツ杯中山金杯(G3)と4つの重賞タイトルを重ねた個性派の逃げ馬サイレントハンター(牡18歳、父サンデーサイレンス 母ヒロポリシー)を繋養先のJBBA日本軽種馬協会九州種馬場(鹿児島県曽於郡大崎町)に訪ねた。

 1996年、4歳(現3歳)の1月にデビューした本馬は2戦目に初勝利、サンデーサイレンスの産駒としては遅咲きの活躍で、5歳時に逃げ馬として才能を開花させ、総武ステークス(1600万下)→エイプリルステークス(OP)→新潟大賞典(G3)と3連勝して初重賞制覇を果たした。2歳下のダービー馬スペシャルウィークは同馬主、同じ時期に古馬戦線で活躍し、1999年のアメリカジョッキークラブカップ(G2)ではスペシャルウィークが1着、本馬が2着と同馬主ワンツーを決めた。スペシャルウィークが「特別な舞台(G1レース)」で存在感を示すならば、こちらは「静かな狩人」として2000mのローカル重賞を中心に存在感を示した。

 2001年の天皇賞(秋)(G1)13着を最後に引退、2002年よりJBBA日本軽種馬協会九州種馬場で種牡馬入りした。サンデーサイレンス直仔の九州入りという事で、九州の生産者からは注目を集め、初年度は61頭、以降45頭→33頭→21頭→25頭の繁殖を集めた。2007年からの2年間は北海道(JBBA日本軽種馬協会静内種馬場)に移ったが、サンデー系の多い北海道では繁殖牝馬を集めることに苦労し、2009年より再び九州に戻り種牡馬を続けている。活躍馬には中央2勝をあげたハンターキリシマ、2歳時に2連勝でひまわり賞(九州産OP)を制したパリスドール、佐賀競馬に所属しJRAの九州産馬を相手に霧島賞を勝ったナセなどがいる。

 「まだまだ元気ですよ。時折、立ち上がったりしますが性格的にキツイとこはありませんし、人に対して悪さをする事もありませんね」と語ってくれたのはJBBA日本軽種馬協会九州種馬場の畠添場長。サンデーサイレンス直仔(アグネスプラネット・イシノナイト)が九州で立て続けに種牡馬入りしているが、元祖として頑張ってもらいたいものだ。

 現在、九州種馬場にはサイレントハンター、ダンツシアトルの他に、ロドリゴデトリアーノと入れ替わりで来年より供用されるスクワートルスクワート、アラブの活躍馬ブルバードライジンの4頭が繋養されている。「毎年、多くの競馬ファンが見学に訪れてくれます。熱心な“九州産馬のファン”や“アラブのファン”も来てくれますね。そんなファンの思いに応えられるよう、九州の馬産が盛り上がって欲しいですね」と畠添場長。

 九州種馬場へのアクセスは、南九州観光の拠点となる都城市より国道269号を南下して約35km、車で約60分の位置にある。すぐ近くには、地方競馬の場外馬券売場「ニューウェーブ大崎」があり、牧場見学だけでなく馬券を楽しむことも可能だ。