馬産地コラム

イブキガバメントを訪ねて~霧島高原乗馬クラブ

  • 2011年01月27日
  • イブキガバメント~1
    イブキガバメント~1
  • イブキガバメント~2
    イブキガバメント~2
  • イブキガバメント~3
    イブキガバメント~3
  • 霧島高原乗馬クラブの看板
    霧島高原乗馬クラブの看板
  • 四位騎手はこの乗馬クラブ出身
    四位騎手はこの乗馬クラブ出身

 2001年の朝日チャレンジカップ(G3)、2002年の鳴尾記念(G3)と2000mの重賞を2勝したイブキガバメントを鹿児島県霧島市の霧島高原乗馬クラブに訪ねた。

 2003年に競走生活を引退した本馬は、管理していた橋口弘次郎調教師からの紹介で2003年11月より鹿児島県溝辺町の鹿児島ライディングクラブにて飼養されていたが、クラブ代表の長命信一郎氏が、(以前に所属していた)霧島高原乗馬クラブの代表を任されることとなり、2006年9月よりこちらに移動、現在は引退功労馬として余生を送っている。ちなみに、この霧島高原乗馬クラブは“ダービージョッキー”四位洋文騎手の出身クラブとしても知られている。近所に住んでいた四位少年に乗馬を勧めたのが長命氏ということで、四位騎手にとって長命氏は馬の世界での最初の師匠とも言える。

 「3年くらい前までは乗馬の九州大会(120cmM級C)にも参加して活躍していましたが、脚元に不安が出てきたので乗馬を引退、今年度のBTC『引退名馬等のけい養展示』事業に申請を行いました」と語る乗馬クラブのスタッフ。

 「重賞2勝という実績馬ですから、馬にもプライドが有るのでしょう。性格は馬に対しても人に対しても気が強く、乗っていても(騎乗者がベテランか初心者か)屋根を見ます。それでも手入れなどは大人しく頭が良いんですね。現在は、功労馬として放牧や軽い運動を行い、元気にしていますよ」と近況を語ってくれた。

 本馬の母は南関東の三冠を制した名牝ロジータ、本馬の弟妹には帝王賞(G1)など地方重賞4勝のカネツフルーヴ、ジャパンダートダービー(G1)2着のアクイレジアがいる他、一族の血統からはJBCクラシック(G1)など地方G1・3勝のレギュラーメンバーが出ている。母系をスピードキヨフジまで遡ればシンザン記念(G3)など重賞2勝のミルフォードスルー、朝日チャレンジカップ(G3)など重賞2勝のランフォザドリーム、函館2歳ステークス(G3)を勝ったフィーユドゥレーヴなど活躍馬多数。昨年の牝馬クラシックを賑わせたオウケンサクラもこの一族の出身と、長くに渡って繁栄を続けている血統だ。

 G1での最高着順は2001年天皇賞(秋)(G1)4着の本馬だが、ロジータの一族で2000mの芝重賞を勝った牡馬は本馬だけだ。馬産地でサンデー系牝馬が増えている事と、今は亡きコマンダーインチーフの後継という事を考えると、今なら種牡馬として面白い存在になったかも知れない。

 ここ、霧島高原は“南九州の軽井沢”と呼ばれる避暑地としても有名で、夏は涼しく冬は温暖な土地だ。坂本龍馬が妻・お龍と“日本初の新婚旅行”で訪れた地としても有名で、近郊には霧島温泉郷や霧島神宮など多くの観光スポットがある。そんな穏やかな土地で穏やかな余生を暮らす本馬、遠く南九州から競馬場で活躍するロジータの一族にエールを送っている事だろう。