馬産地コラム

ブラックホークを訪ねて~ブリーダーズスタリオンステーション

  • 2011年01月19日
  • ブラックホーク~1
    ブラックホーク~1
  • ブラックホーク~2
    ブラックホーク~2
  • ブラックホーク~3
    ブラックホーク~3

 「当スタリオンにはブラックタイド、ブラックタキシードと“ブラック”が3頭いますから間違わないように気を使いますね」と日高町のブリーダーズスタリオンステーションの事務局スタッフが冗談交じりに現況を報告してくれた。とくに馬名を省略する生産者が多いので、種付予約のときなどは大変だと思う。事務局に問題がなくても、生産者側が馬名を間違える事だって少なくないはずだ。

 そんな“スリーブラックス”の中でブラックホークのポジションは“癒し系”らしい。「競馬場では入れ込みがキツかったらしく、受け入れるときは厩舎から「気をつけてね」と言われたのを覚えていますが、それが懐かしく感じるくらいにおとなしい馬になりました」と同スタリオンの坂本教文主任。「それに、あまり動じないです。このスタリオンにはステイゴールドやアドマイヤジャパン、タップダンスシチーなど激しい馬が多いのですが、いたってマイペースですね」という。

 17歳になるが、食欲はまったく衰えることがなく、放牧地ではいつも草を噛んでいる。「放牧地だけでなく、飼いつけの時間になると一番うるさい馬ですね。とにかく食欲は凄いです。それに、今年はシャトルをしなかったこともあるのでしょうが、夏から秋シーズンにかけてはちょっと立派になりすぎちゃいました」と頭をかいたが、毎年1000頭を超える種付けを楽にこなすスタリオン。シーズンまでにはきっちりと体をつくってくれることだろう。

 「チェレブリタやクーヴェルチュールがJRAの重賞に勝ってくれて、2010年シーズンもナニハトモアレがマーチS(G3)、アンタレスS(G3)で2着と活躍してくれました。産駒がコンスタントなので種付頭数も安定した人気がありますけど、まだ自身を超えるような産駒が出てないのは残念です。私たちスタッフも、それを待っていますし、そういう馬を出せる種牡馬だと思っています。そろそろ年齢が気になる頃ですが、1年でも長く種牡馬生活を続けて欲しいと思っているんです」と期待している。

 そんな人間の気持ちを知ってか、知らずか。当のブラックホークは相変わらず草を噛んでいる。少しでも美味しそうな場所を探して、ちょこちょこと動き回っている。そんな惚けたところも、この馬らしいところだ。「2010年の2歳馬はちょっと楽しみにしているんです」というスタッフの言葉を代弁するようにムツミマックスが福山の2歳重賞を制したニュースが伝わってきた。

 「2011年シーズンは忙しい年になると良いですね、そんな気持ちですよ」と来るべき日を待っている。